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スウェーデンの老後の社会保障の年金制度と健康保険の仕組みは問題ないのか?

スウェーデン

世界の中でも、スウェーデンやノルウェー、フィンランドといった北欧の三国は社会保障が充実してことでよく知られています。

今回はその三国のうちからスウェーデンに絞り、年金制度と健康保険の仕組みについて紹介したいと思います。

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スウェーデンの高齢者事情

まずはスウェーデンの高齢者が置かれている状況を説明したいと思います。

一般的に、高齢者は65歳以上の人を指すことが多く、老年人口と呼ばれます。

総人口に占める老年人口の割合が高齢化率であり、どの程度高齢化が進行しているのかを把握する指標となります。

高齢化率が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ばれます。

高齢化率が7%から14%に達するまでの年数を倍加年数と呼び、この数値で高齢化の進行速度を比較できます。

スウェーデンの倍加年数は85年となっています。

諸外国と比較してみると、フランスは115年、アメリカが72年、イギリスは46年、ドイツは40年となっています。

ちなみにこれらの国と比べて日本は24年と、非常に速い速度で高齢者の割合が増加しています。

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OECDの発表した統計データによれば、2013年の時点でスウェーデンの高齢化率は19.91%にまで上昇しています。

また、SCBの推計データによれば、2060年には24.8%まで高齢化率が上昇するという見通しになっています。

超高齢者社会の到来も目前に迫ったスウェーデンにおいて、従来の年金制度ではカバーしきれない課題が存在していました。

それを改善するため、スウェーデンの年金制度は1999年に大きな改革が行われました。

そこでまずはこの改革以前の旧制度の紹介をし、スウェーデンの年金制度の変遷を説明したいと思います。

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改革以前のスウェーデンの年金制度

スウェーデンの従来の年金制度は二階建ての構造となっていました。

一階部分にあたるのが基礎年金、二階部分が付加年金です。

まず一階部分の国民基礎年金ですが、この制度は確定給付型の制度です。

支給対象となるのは16歳から64歳のうち3年以上国内に居住しているか、付加年金に3年以上加入いている者となります。

対象者のうち40年以上国内に居住しているか、30年以上付加年金に加入していれば満額を受給することができました。

受給する年金の額については現役時代の所得の水準に左右されず、定額と定められていました。

その額は単身の場合は基礎額の96%、夫婦の場合は基礎額の78.5%(一人あたり)となっています。

スウェーデンの国民基礎保険は完全賦課方式により運営されていました。

財源としては当該年の保険料の収入が主であり、保険料による収入が給付額に満たない場合については国庫から負担分を補填することとなっていました。

保険料は被用者(会社に勤めている者)が5.86%、自営業者は6.03%となっていました。

続いての二階部分は、国民付加年金と呼ばれていました。

スウェーデンの国民付加年金は修正賦課方式で運営されていました。

スウェーデンの修正賦課方式とは、基本的には賦課方式の制度であり、そのうちある程度積立金を有するもののことを指しています。

スウェーデンの年金受給対象者となるためには3年以上加入している必要がありました。

スウェーデンの国民付加年金は所得比例の年金であり、給付水準としては、30年以上労働していた者について、その期間のうちもっとも収入の多かった15年間の平均収入の60%と定められていました。

スウェーデンの財源は当該年の保険料に加えて、積立金の運用利益などによります。

保険料率は使用者(被用者を雇う側)負担が13.0%、本人が1.0%となっていました。

スウェーデンの国民基礎年金および国民付加年金の支給開始年齢はともに65歳と定められていましたが、一定条件下においての繰り上げ支給と繰り下げ支給も容認されていました。

スウェーデンの繰り上げ受給は61歳以上65歳未満のうちの任意の期間で、一月あたり0.5%減額、繰り下げ支給は65歳超から70歳以下の任意の期間で、一月あたり0.7%の増額と定められていました。

また、61歳以上65歳未満の期間中には部分年金も存在していました。

このような体系によってスウェーデンの年金制度は運用されてきましたが、様々な問題点が指摘されてきました。

例えば、給付費の増加や経済の悪化ということが挙げられます。

スウェーデンの給付費の増大

従来の制度で運営されていた年金の給付費は、増加の一途を辿っていました。

その最も大きな要因が冒頭でも述べたスウェーデンの高齢化と少子化の進行です。

スウェーデンの高齢化が進行することで年金の受給者数は増加します。

そして少子化によって現役世代の人口が減少することによって、保険料収入の減少に繋がります。

スウェーデンの年金制度は賦課方式で運営されているため、現役世代の人口減少と高齢者の増加が同時に起こることによって、年金受給者を支える勤労者の割合が減少していき、勤労者一人あたりの負担が重くなります。

スウェーデンの年金受給者一人を支える勤労者の割合は、2000年の時点で3.3人ですが2025年には2.4人に減少する見込みとされています。

日本とスウェーデンを比較すると比較的緩やかな推移の仕方ではあるものの、少子高齢化が年金財政に与える影響は少なくないと考えられました。

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スウェーデン経済の悪化

スウェーデンの経済は1991年から1993年にかけて3年連続でマイナスとなっていたのです。

このような状況となったのにはバブル経済が関係しています。

1980年代の半ば以降、スウェーデンでは金融の自由化に伴ったバブルが発生しました。

1987年にはスウェーデンの財政が黒字に転換していますが、1990年にバブルは崩壊しました。

それによりスウェーデンの金融機関の経営危機が起こり景気は後退します。

1992年には通貨危機が発生するなどスウェーデン経済は危機的状況となりました。

景気の悪化により、スウェーデンの合計特殊出生率は1990年から減少し始めました。

1990年には2.14とピークを取っていた合計特殊出生率は1999年に1.500まで減少したのです。

これは、前述した給付費の増大にも関連する問題となっています。

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改革後のスウェーデンの年金制度

このように様々な問題が重なった状態を受けてスウェーデンの政府は年金制度の改革に着手したのです。

1999年から、スウェーデンの従来の制度を大幅に刷新した制度が始まりました。

現行のスウェーデンの年金制度

まず、最も大きな変化点としてスウェーデンの新制度では国民基礎年金が廃止され、所得比例年金への一本化がなされたことが挙げられます。

このスウェーデンの改革が行われた大きな理由の二つが、財政負担リスクの減少と、不公平感の改善です。

スウェーデンの国民基礎年金は確定給付型の年金であり、経済が悪化するにしたがって国庫負担が増加することが考えられましたが、これを廃止することでリスクを減少させることに成功しました。

また、従来のスウェーデンの制度では現役時代の所得に関係なく一律の支給となっていたため、不公平感が生じる原因となっていました。

そのため、現役時代に納めていた保険料の総額で年金の支給額が決定する形式への一本化が行われ、不公平感を改善することとなったのです。

ただし、無業の者や最低所得未満の者もカバーしている保証年金という制度は同時に運用されており、年金制度は引き続き二階建ての構造となっています。

このスウェーデンの保証年金については後述します。

また、保険料率が固定化されたことも大きな転換点です。

スウェーデンの新制度の保険料は年間所得の18.5%と定められました。

保険料率が固定になったことで、現役時代中にどの程度の保険料を納めることとなるのかを把握することが可能となりました。

将来受け取ることのできるスウェーデンの年金額は毎年通知されることとなっています。

18%の保険料のうちの16%が国の年金基金であるバッファー基金に、2.5%が個人の年金自己勘定への積み立てられることとなりました。

16%は従来の付加年金の制度と同様の、修正賦課方式により運営が行われます。

2016年末時点でのバッファー基金の時価残高は1.321兆クローネであり、そのうちの6割以上が国内および国外の株式に投資されています。

スウェーデンの支給開始年齢は、61歳以降で受給者自らが選択することが可能です。

ただし、2017年にスウェーデンの支給開始年齢の引き上げをすることが決まっており、段階的に引き上げていき、2026年までに64歳からとすることとなりました。

所得比例年金の対象となるのは一定の所得がある被用者および自営業者です。

被用者に設けられている一定所得の基準は、年間所得が189000クローネ以上であることとされています。

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スウェーデンの保証年金

スウェーデンの保証年金の対象者は無業の者、そして学生や主婦等を含んだ最低所得未満の者と一定所得までの被用者となっています。

このスウェーデンの年金制度が設けられた理由としては、生涯所得の水準が低かった者や保険料を納める期間が短かった者は受給できる年金額が少なくなってしまうということが挙げられます。

その層をカバーするために作られ、財源は原則としてスウェーデンの国庫負担により賄われています。

また、スウェーデンの保証年金は物価をもとにその額が決められています。

スウェーデンの支給開始年齢は65歳と定められており、25歳以降スウェーデンに居住していた期間が40年となった場合満額を受給することができます。

2016年時点でのスウェーデンの年金受給者の平均受給額は、保証年金を含んだデータで、男性が13400クローネ、女性が10300クローネとなっています。

スウェーデンのその他の年金制度

ここまで述べてきた所得比例年金と保証年金の他に、遺族年金と障害年金などの制度が存在しています。

スウェーデンの遺族年金は、被保険者の遺族に支給される年金であり、2003年1月に改正がなされています。

65歳未満の愛宮者が18歳未満の子供を扶養する際には12ヶ月支給されます。

18歳未満の子供を扶養する場合にはさらに12ヶ月、12歳未満の子供の扶養の場合には子供が12歳となるまで、スウェーデンの年金の支給期間が延びます。

遺児については18歳、学生の場合には20歳となるまでの期間、維持年金が支給されることとなっています。

スウェーデンの障害年金は、30歳未満の者が最低25%の機能損傷を1年以上有する場合、または30歳以上64歳以下の者において永続的な機能損傷を有する場合に支給されます。

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スウェーデン年金制度の評価点と問題点

スウェーデンの年金制度は1999年の改革によって、その持続可能性を大きく延ばしたとして世界的に評価されることとなりました。

持続可能性を高くした要因としては、ここまででも述べてきた、所得比例方式の年金への一本化が挙げられます。

また、現行の制度には、自動財政均衡メカニズムを採用しています。

これは、資産と債務とのバランスを保つために給付を調整する仕組みのことを指します。

スウェーデンの年金額が急激に変動することがないよう、また適当なタイミングでの調整が行われるように工夫がなされています。

具体的には、積立金の評価を、評価時点における公正価値から、直近3年間の平均とする変更や、調製に用いる比率を貸借比率から観賞貸借比率に変更するなどの措置が取られています。

このシステムにより、年金支給総額が保険料収入総額を超えることがなくなりました。

このように、様々な改訂が行われてきた現行制度ですが、現時点においても問題点は存在しています。

その1つがスウェーデンの年金の給付水準です。

スウェーデンの年金の財政が悪くなった際に、給付が引き下げられるおそれがあるのです。

スウェーデンの給付水準の低下を防ぐための方法としては、保険料を納める期間を長く、受給する期間を短くすることが挙げられます。

そのためには定年をより遅くすることや、受給開始年齢を引き上げることなどが挙げられます。

スウェーデンの支給開始年齢は先にも述べた通り段階的に引き上げを行っている最中です。

スウェーデンの雇用保障年齢は2020年に68歳、2023年に69歳とこちらも段階的な引き上げを行うことが決まっています。

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スウェーデンの年金制度まとめ

社会保障が充実しているといわれるスウェーデンの年金制度は、1999年に大きな改革が行われました。

定額の年金と所得比例の年金の二つが存在していたものが、この改革により統合されました。

確定給付型の年金に一本化したことにより、持続可能性が向上し世界的にも評価される仕組みとなりました。

しかし財政悪化の際には年金の給付水準が下がるおそれがあるなど、課題点も存在しています。

世界的にも評価されるスウェーデンの年金制度が今後どのような動きを見せるのか、注目されるところです。

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スウェーデンの健康保険

スウェーデンにおける医療サービスは大きく、国(社会保健省)、広域自治体のランスティングその他、基礎自治体のコミューンという3つに分かれて運営されています。

国、この場合社会保健省は、法律制定や監督、評価などの医療保険制作全般の責任を負います。

広域自治体のランスティングは日本でいうところの県に該当し、保健・医療サービスを行っています。

スウェーデンの保健・医療サービスに関しては、ランスティングが18、ランスティングよりも権限の広い広域自治体であるレギオンが2つ、それらに属さないコミューンのゴットランドの、合計21の広域自治体によって運営されています。

基礎自治体にあたるコミューンは全国に290存在しており、福祉サービスはここが担当しています。

コミューンは日本でいうところの市町村にあたるものですが、前述したランスティングと対等な立ち位置となっているところが日本との相違点になります。

スウェーデンの保健医療サービスは三つの階層で構成されています。

一番下の階層は初期医療、その上がランスティングによる医療、そしてより高次なものが地域グループ医療となります。

初期医療はかかりつけの家庭医による医療サービスです。

病気やケガの治療を早い段階で行うことを目的としています。

スウェーデンの初期医療を受けることのできる診療所は、公立と私立を合わせて1000以上存在しています(公立のものが約780箇所、私立が約250箇所)。

ランスティングによる医療はその次のフェーズであり、病院での治療が必要な場合の医療サービスとなります。

外来、また入院での治療が提供されています。

この階層の病院は70箇所ほど存在しています。

また、ランスティングより広域な地域レベルの医療機関も9つ存在しており、ランスティングの中央病院と比較してより専門的な医療サービスが提供されています。

地域グループ医療ではさらに高度な治療が必要な患者に医療サービスを提供しています。

スウェーデン国内が大きく6つの高度専門医療地域に分類され、それぞれの地域には少なくとも1つの大学病院が存在しています。

日本においての医療制度の財源は主に保険料ですが、スウェーデンでは税による収入が主である点で大きく異なっています。

スウェーデンの医療制度に使用される税金の内訳は、約70%が地方県税、約20%が国の補助金、その他が10%となっています。

スウェーデンの医療費がGDPに占める割合は、2010年時点で9.4%であり、これは同年のOECD加盟国の中で15位となっています(OECD加盟国は全部で31ヶ国)。

また、この割合はOECD加盟国の平均値より0.4ポイント上の値となっています。

患者の自己負担額はそれぞれのランスティングによって独自に制定されています(ただし、保健医療法によって上限額は指定されており、その範囲内の額である必要があります)。

まず外来における負担額については、初診かそうでないか、年齢、訪問先といった要素を加味して設定されています。

上限額は900クローナに定められています。

ランスティングにおいては、20歳未満の子については無料としているところが多くなっています。

2010年時点で、スウェーデンの初期医療の外来診療は100~200クローナとなっています。

続いて入院における自己負担額は、患者の年齢や所得、入院日数といった要素を踏まえて決定されます。

上限額は1日あたり80クローナに設定されています。

入院においても、外来と同様に20歳未満は無料としているランスティングが大半です。2010年時点では、1日当たり40~80クローナ程度となっています。

薬剤に関してはスウェーデン全国で一律1800クローナ(1年あたり)と定められています。

処方薬に関しては医薬分業となっており、患者は処方された医薬品を、その医療機関とは異なる薬局で購入する必要があります。

従来は医薬品の販売を行うのはスウェーデンの国営の薬局が独占している状態でしたが、2009年以降民間企業が参入可能となっています。

スウェーデンの医療制度の課題

スウェーデンの医療制度を評価するにあたっては、「アクセス」「質」「コスト」の3つの指標が用いられることが多いです。

スウェーデンの医療における課題点の1つが、待ち時間の長さです。

これは、「アクセス」に関する課題点と言えます。

スウェーデンの医師の不足と制限されたアクセスによって待ち時間が発生しているのです。

1981年にスウェーデンが全国で行った調査の結果で、待ち時間に対しての不満が多いことがわかりました。

ここで待ち時間という言葉が指し示すものは待合室における待機時間のことではありません。

ここまで述べてきた通り、スウェーデンにおいて保健医療サービスは三層構造となっています。

スウェーデンの初期医療においてより上位の医療サービスを受ける必要があると判断された場合に、すぐに受診できるわけではなく、予約をすることが必要です。

つまり待ち時間というのは、診察を希望してから予約日までにかかる日数のことを指しています。

前述したように、1981年の報告によって待ち時間の問題が広く認識されることとなりました。

1987年に待ち時間に対するスウェーデンの初めての法案が生まれました。

これは白内障、股関節置換、冠動脈バイパスの3つの手術の件数を増やせるよう追加資金について定めたものとなります。

また、ここでランスティングの地方における連携が提案されています。

それまでスウェーデンの他の地方への患者の紹介が制限されており、提案を受けて1987年~1989年に、前述した3つの手術に関してどの地方のランスティングに関わらず患者の紹介が可能なことが合意されました。

1992年にはスウェーデンのエーデル改革とよばれる高齢者介護改革が行われ、これもアクセス改善へと繋がっています。

エーデル改革は高齢者の生活向上のために行われたものであり、その中でコミューンは退院準備のできている高齢者を引き受けるという責任を負うことになりました。

これによって、スウェーデンの高齢者以外の人々が使用可能な病床数が増加し、待ち時間の減少へと繋がりました。

1992年、最大待ち時間を保証する制度が始まります。

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このスウェーデンの制度において対象となった手術は、従来の3種から10種へと増加しました。

該当の10種類の手術に関しては、手術決定から実際に手術を行う日までを3ヶ月と規定し、期限内に間に合わなかった場合に関しては病院側が費用を負担して、患者が他の機関で手術を受けることができると定めました。

1993年には待ち時間の減少が報告されていますが、勢いが低調になっていることも同時に指摘されています。

1996年の「ヘルスケア保証とヘルスケア資源」と呼ばれる覚書によれば、1995年時点での待ち件数は1992年と比較して増加しているとのことで、長期的な効果が見られなかったことが判明します。

そして、1995年に「ヘルスケアにおける困難な選択」と呼ばれる報告書が発表されます。

この報告書においては、制度の保証に含まれている疾患は重要ではあるものの、絶対に最優先しなければいけないものというわけではないとされます。

それに加えて保証に含まれる医療行為とそうでないものがあることへの指摘がなされたことを受けて、スウェーデンはより普遍的な制度の制定へと動き始めました。

1997年より始まったスウェーデンの新制度においては、電話による初期治療を即日受けることが可能、7日以内に初期医療の訪問可能、その次の医療については紹介状到着後90日以内に訪問可能といったことが定められました。

2005年にはスウェーデンの全国医療保障制度が定められ、これによってランスティングは治療を始める決定から90日以内に治療を開始することが必要となりました。

このスウェーデンの制度に関しても初年度は効果が現れましたが、3年後には30%の患者が治療開始期限を超えて待っていることがわかっています。

この理由としては、ランスティングが患者や職員に対して保証内容の周知を積極的に行わなかったためとされています。

患者は90日以内の治療開始が行われなかった場合、他のランスティングで治療を受けることが可能となり、その費用はランスティング側が負担するという定めがあるためです。

スウェーデンによる調査においては、待ち時間の大幅な格差がみられること、制度実施前と比較して待ち時間が長くなっているランスティングも存在することなどが明らかとなっています。

待ち時間に対する保障制度を実施したとしてもそれが一時的なものに留まり、持続的な効果を持たないことが明らかとなったことを受けて、保証制度に法的、または経済的な取り決めを加える必要があると考えられました。

そこで2009年にスウェーデンの「Queue Billion Programme」が導入されます。

このスウェーデンの制度は待ち時間保証を守ることによって資金補助を与えるという経済的な手段を用いることによって、病院やクリニックが待ち時間を積極的に守るよう働きかけたものとなっています。

具体的な内容としては、2009年から2011年の間において、プログラム合意下で決定した目標に達した地域が10億クローナの資金を得ることができるというものです。

2009年から2011年の間で、初期医療を7日以上待っている患者、ランスティングの医療を90日以上待っている患者はともに減少しています。

そして、2010年にとある法律が制定されます。

スウェーデンにおいて健康関連の政策はランスティングに一任される傾向があり、それがランスティング間でのばらつきを生む原因となっていたため、法制化が行われたのは大きな転換点であったと言えます。

従来のスウェーデンの制度においては、ランスティング側が患者に保証制度の内容を積極的に通知しないという問題点が存在していたことは先に述べましたが、患者へ適切な情報を提供することも2010年の法の中に明記されています。

ただし、あくまで医療サービスを提供する側の義務であり、患者側が保証を守られなかったことを理由に訴えることはできないという問題があります。

このように待ち時間短縮のためには数々の施策が実施されてきました。

2011年時点で、患者の9割が保障期限内に治療を受けられていることもわかっており、効果が出ていることが窺えます。

2013年の段階においては、待ち時間がEUの平均と同じ水準にまで達しているのです。

ただし、待ち時間改善のための根本的な原因は現時点で明確になっておらず、今後はその原因の究明、および持続的な対策が必要なのは間違いないと言えるでしょう。

スウェーデンの社会保障の特徴

さて、ここまでスウェーデンの社会保障について、年金制度と健康保険という切り口から見てきましたが、スウェーデンの社会保障は基本的に「高福祉、高負担」となっています。

税金、そして社会保障にかかるコストは高くなっていますが、スウェーデン国民はそれを受容しています。

その理由としては、スウェーデンの国に対する信頼感が高く、国民が適切なサービスを受けられることを認識しているためと考えられます。

このようにして高福祉の社会保障が提供されているわけですが、企業の視点で考える必要もあります。

ここまで述べてきたように、スウェーデンの社会保障の財源の1つである保険料を企業が負担するかたちとなっています。

年金や医療保険の他にも介護保険や失業保険などの保険料が存在しており、企業の負担は大きいです。

さらに、スウェーデンには「連帯賃金政策」と呼ばれる原則も存在しています。

これは、それぞれの企業の業種や利益率といった要素に関係なく、同一の内容の仕事であれば同一の賃金が決定されるというものになっています。

この枠組みによって、賃金を下げるという選択肢はなくなります。

経営に対してこのような制限が設けられていることによって、経営力の低い企業は淘汰されていくこととなります。

そしてスウェーデンにおいては経営が悪化した際に政府からの支援を受けるのは困難です。

過去に政府支援が経営の根本的、持続的な解決にならないという経験を持っているためです。

その代わり、失業者に対しての支援に力を入れています。

こうして企業経営は効率化されていき、社会保障の高コストを受け入れるだけの土壌が形成されていくと言えるでしょう。

高福祉、高コストとよばれるスウェーデンの社会保障が成り立つのには、国民の信頼のみでなく、このような背景、基盤が存在しているのも重要な点であるといえるでしょう。

スウェーデンの健康保険制度まとめ

スウェーデンの健康保険、いわゆる医療保険サービスは三層構造となっており、その中でも特にランスティングと呼ばれる広域自治体が主な医療サービスを提供しています。

高福祉、高負担と評されることの多いスウェーデンの社会保障は、確かな恩恵を受けることができるという国民の信頼があり成り立っています。

世界的な評価も高いスウェーデンの医療制度ですが、アクセス性の悪さという問題を孕んでいます。

しかし、この点に関しても様々な対策が行われてきており、一定の成果は上げられていると言えます。

世界に押し寄せる高齢化の波、そんな中でもより良い制度へと向かっているスウェーデンは、全世界が注目するものとなっています。

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