サブプライムローンとは?問題、リーマンショック

サブプライムローン

「サブプライムローン問題」を今だから完全解説 ~現代社会での第二のサブプライム問題は?

今回は、10年以上前に世界の金融市場を震撼させた「サブプライムローン問題」を取り上げたいと思います。

今更、10年以上前の金融問題を取り上げて何になるんだというお叱りの声が聞こえてきそうです。

しかし、当時サブプライム問題をきっかけに、「リーマンショック」が起こり資本主義陣営において世界的大不況状態に陥ったことは、未だに年配の経済界のリーダーたちの口に上ることがあります。

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そこで、当時のサブプライムローン問題とは一体何だったのか?

その為起こったリーマンショックとは、どのようなものだったのかを見てみることで、現在の金融業界で注意しなければならない事柄についてご紹介したいと思います。

歴史は繰り返すと言います。

しかし、世界77億人に上る世界人口になっている2019年、IT革命や5Gの普及による高速大容量データ通信によって今や過去に起きた問題とは様相が異なってきています。

基本的な問題の「根」は変わらずとも、情報の伝播力やスピードが著しく向上したせいで、昔は数日かかっていた状況でも、ほんの数秒、数分で波及してしまいます。

つまり、もし万が一、再び「サブプライムローン問題」のようなことが起こった場合、あれよあれよという間に加速度的に重症化していくことが考えられます。

このことは、いままで些末なこととされてきた事象も多く含んでいます。

例えば、高性能自動翻訳システムの問題です。

「え?翻訳機と金融が結びつくの?」と言われるかもしれませんが、非常に大きい問題です。

旧ソビエトのロシア、中華人民共和国、インド、日本、とこう並べてみても、それぞれ違った言語が一般生活や企業で使用されています。

英語さえ分かれば良いというのは日本人的思考です。

これらの国々のIT技術者やIT管理者が全て語学堪能者とは限りません。

優秀な技術者でも英語を理解できない人もいます。

今までは、進んだIT技術の中でもこの語学の壁は厳然と存在していました。

それが、優秀な自動翻訳システムの出現で、語学を学ばなくとも高度な外国語を理解できるようになったということです。

最近中国や韓国からアメリカ、日本へのサイバー攻撃が目立ってきましたが、彼らも日本語を理解しシステム的な課題をも克服しているからこそ出来るようになったことに起因しています。

些末な問題が、政治、経済、金融の垣根を低くしていることで起きる問題は世界的規模の問題だと言えます。

こうした状況になっている現代社会で、過去を教訓とし「根」を視ることで「転ばぬ先の杖」にしていただければ幸いです。

前段が長くなりましたが、サブプライムローンに関する解説を以下にご紹介しましょう。

ある程度ご存じの方も、復習を兼ねて読み進めてください。

サブプライムローンとは (高利でも簡単に借りられる)

では、そもそもこの「サブプライムローン」とは何だったのかについてご紹介します。

「サブプライムローン」は、アメリカにおけるローン(貸し付け)形態のことで英名で“subprime lending”と書きます。

消費者を対象にした貸し付けの際には、当然その貸し付ける客層を優良層と非優良層に分けます。

金融機関によれば、その分け方に色々なファクターを加え、クラス分けを行っている会社が多いようです。

この当時アメリカでは、優良でない層のことを「サブプライム(subprime)」と呼び、その層に属している人々に対して行うローン商品のことを言いました。

日本でも同じですが、大型のローンを組む最も代表的なケースは、住宅購入に関わるローンです。

通常、借手の信用調査を十分に行い返済能力のある方にのみ貸し付けていました。

しかし、そうした優良層にはその数に限りがあり、その領域でのマーケットが拡大できません。

そこで、考えられたのが「サブプライムローン」です。

当時は主に以下の条件に該当する方々がサブプライムローンの対象者とされていました。

① 個人所得に対して借入金が50パーセント以上存在する人

② 過去1年以内に30日以上の返済延滞が2回以上あった人

③ 過去5年以内に破産した人

普通、この①~③を見ただけでも住宅購入のためのローンを組ませることは、金融機関としては非常識であったはずです。

しかし、金融機関にとって貸出実績を上げて金利を儲けなければなりません。

またちょうど、アメリカでは2001年頃より目立って地価の上昇が続いていたことも追い風となりました。

さらに、ここで登場するのが「金融工学」という学問でした。

今もなおその手法は脈々と一つの学問分野として大きな位置を占めています。

この金融工学により、ハイリスク、つまり返済能力が低い人々に対してどれだけの高金利で貸し出せば良いのかの計算をしてくれました。

基本的なことで恐縮ですが、お金の貸借の場合、当然貸し倒れがあります。

返済してくれない場合を想定しておかなければなりません。

100%全員が返済してくれない場合は無いとしても、何%かの人が返済してくれない、あるいは返済できなくなるというリスクが発生します。

そのため、そのリスクを加味して、担保物件の将来における価値換算や貸出金利を定めることで利益を上げるようにすることになります。

そのため、高金利商品として成立できたたわけです。

アメリカにおいて住宅資金を借りる側にとっては、このサブプライムローンに限らず、返済方法として借りた当初数年間は低金利で返済していく方法が一般的で、当初の返済負担を軽減したものとして普及しました。

そのため、借入当初は低金利での返済のため、借手は自分の返済能力を超えた借入を行えたというカラクリがありました。

極端な場合、当初の支払金額が利子を下回る金額に抑えられたものもあり、この場合には当然、借り入れた金額よりも元本が増えていく計算になってしまいます。

いわゆる自縄自縛的なローンであったと言われます。

ここで、余談になりますが、この金融工学という学問分野における研究者や学者の出身を辿れば、原爆開発に関わったエンジニアや学者がその源流になります。

いわゆる「マンハッタン計画」携わった人たちです。

原爆開発には高度な数学が必要でその技術や知識を身についている人たちが多くいました。

戦後、それらの超高度な数学を活かせる職場として彼らが選んだのが金融業界であったわけです。

あらゆる不確定要素を変数として数式に盛り込み、臨界点を見つけ出す技術が応用されたわけです。

その結果「金融工学」という一つのジャンルが生まれるに至っています。

以上にご紹介したような性格を有したローンがサブプライムローンと呼ばれるものの正体でした。

また、アメリカにおいて2001年(平成13年)頃から始まったアメリカでの地価上昇が拍車をかけたとも言われています。

サブプライムローンが破綻する2006年(平成18年)頃まで、各種格付け会社による格付けでも優秀な債権として盛んに販売されたローン商品となりました。

借りる側としてのサブプライムローン自体の正体はここまでです。

融資に対して非適格な人でも高金利で住宅ローンを借りられるとあって、概ね5年の期間で瞬く間にアメリカ全土に広がりを見せました。

では、5年間もの期間、問題として表面化しなかったか?という問題ですが、これは先ほども触れました、アメリカにおける地価の上昇が自然に隠蔽してくれたことに原因があります。

つまり、地価の上昇とともに、住宅の評価額が上昇したため返済の破綻は必ずしも表面化しなかったためです。

例えば、借り手側の「所得」が上昇せず「生活費」が上昇する局面にあっては、返済困難になる状況が想定されます。

しかし、それ以上に住宅価格が上昇すれば、その上昇した分に担保余力が拡大することになります。

そして、その担保余力分を担保として、新規に追加融資を受けることが出来たのです。

これをホーム・エクイティ・ローン(home equity loan)と呼ばれていました。

このため、返済困難者でも表面化しなかったと言えます。

当然ですが、アメリカにおける土地価格の上昇が限りなく続けば、値上がった土地を売却することで問題は解決されたはずです。

しかし、日本の土地バブルと同じくそうはいかなかったのは結果を見れば明らかに言えるでしょう。

日本のバブル時に言われた「住宅すごろく」と似た様相を呈していました。

以上が、直接的な借り手側から見たサブプライムローンの光景になります。

サブプライムローンとは (証券化されたローン債権)

さて、ここからは、貸し手である金融機関の側からの問題点についてご紹介しましょう。

このサブプライムローンは、アメリカの各金融機関によって実行されたローンでした。

そのため、その資金を得るがために、サブプライムローン債権を証券化して各種投資家に販売したことが大きなターニングポイントになりました。

販売当初は、このサブプライムローン自体が色々な格付け会社によって高い評価を与えられた債権とされていました。

そのため、機関投資家や個人投資家からも好感されていた事実があります。

今も同じですが、当時の金融商品はリスク分散の意味で各種の金融商品が複合的にセットされ販売されていました。

つまり、このサブプライムローン債権に関する証券もそれに組み込まれて販売されました。

簡単に言えば、私たち個人が投資する投資信託の「〇〇セット」というようなイメージを考えてください。

高金利であることから、そのセットの組成の中でもピカイチの商品として、世界に広がって行きました。

この時の債権は、サブプライム・モーゲージ(subprime mortgage)とも呼ばれ、普通の場合、「住宅ローン担保証券(RMBS:Residential Mortgage Backed Securities)」として証券化されました。

また、更にそれらが、「債務担保証券(CDO:Collateralized Debt Obligation)」の形に再証券化されることにより、さらに複雑な様相を呈し始めました。

この結果、一般の借主である人々にとれば、ローン契約を行った銀行とは違った金融機関や投資家に債務が存在することになりました。

また、このサブプライムローンに関しては、住宅購入だけではなく自動車の購入などにも充てられるようになっていきました。

そのため、契約件数、契約金額などが相乗的に拡大していったことは、続く「リーマンショック」を甚大ならしめた要因とも言えます。

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しかし、すでに一方ではアメリカにおいて、サブプライムローンの危険性を危惧する動きが1990年代後半より提唱されており、同時に住宅バブルが指摘されていたことは確かです。

そのため、ほんの一部の先見性のある人のみが、住宅価格の上昇に便乗し利益を上げたことも忘れてはなりません。

サブプライムローンの破綻経緯

① 予兆

上にご紹介したように、サブプライムローンはそもそも、融資不適格な人たちに対しての融資であったことから、早晩破綻は目に見えていたはずです。

そのため、何かのキッカケで一挙に破綻すると言われていました。

まるで、洪水前のダムが決壊するがごとくの様相を予期していたと言えるでしょう。

そのキッカケは2006年(平成18年)にやってきました。

この年には、アメリカにおける住宅価格の上昇率が鈍化し始めたころになります。

そのため、当然、サブプライムローンの借主における返済遅滞率が際立って上昇してきました。

実際の数字をお示ししますと、2006年12月末現在で、アメリカにおける住宅ローン全体に占めるサブプライムローン利用金額が約13%に及んでいました。

奇しくも、その1割強の内のさらに13%に3ヶ月以上の利払い延滞が見られるようになりました。

当然、ローンですので担保物件があり、その担保物件の処理で貸付金額の80%は回収できると計算されていましたが、計算の通り素直には運びませんでした。

つまり、サブプライムローンの借手で返済不能に陥り、担保物件を差し押さえられた方々の1割から2割は、借り入れの際に頭金が0で元金返済を一度も行っていなかった方々であったという点が大きくクローズアップされました。

さらに、担保物件を差し押さえたとしても、居住権等の問題で、差し押さえを実行するまでには約1年かかってしまうという状況が、より悪化傾向に拍車をかけてしまいました。

借主の方としては、1年はタダで住み続けることが出来てしまうと言った余禄がついていました。

こうした事実が露呈することでサブプライムローン問題による弊害が顕在化する予兆になりました。

② 金融機関の状況

こうして、不良債権化したサブプライムローンが名実ともに顕著になって来ると、貸し手側である融資専門会社に対する金融機関の融資が滞り始めます。

そのため、専門会社の資金繰りの悪化に伴う経営破綻が出現してきました。

当然ですが、このような状況では金融機関としても専門会社への貸し倒れを想定しなくてはなりません。

そのため、より貸倒引当金という勘定を積み増さなければ健全な経営が成り立たない状況に追い込まれました。

結果、金融機関の経営は、次第に圧迫され始める結果になったわけです。

そのような暗雲が漂う中、2007年(平成19年)3月に大手融資専門会社の「ニュー・センチュリー・ファイナンシャル」社の経営破綻が懸念されたことで、ニューヨーク証券取引所(NYSE)での上場取引停止が決定され、続いて間髪入れず上場廃止が決定される事案が発生してしまいました。

これに影響を受け、連邦倒産法第11章に基づく資産保全を申請した会社が4社、業務停止は20社以上と将棋倒し状態に続々と問題企業が出現することになりました。

その後、「ニュー・センチュリー・ファイナンシャル」社は4月に連邦倒産法第11章の適用を申請しました。

上でもご紹介しましたように、サブプライムローンに関する証券はハイリスク・ハイリターンを謳ったものとして各種の金融商品の構成要素に組み込まれていました。

更により細分化された結果、どの金融商品に組み込まれているのかが一般の投資家に判然としなくなっていた実情がありました。

自分の所有している金融商品にもこのサブプライムローン証券が組み込まれているのでは?という疑心暗鬼が市場を席巻するに至るのです。

つまり、市場心理が大きく傾いたと言えます。

その結果、サブプライムローンとは直接的には全く無関係の金融商品や金融全体の信用不安を引き起こすという社会現象を引き起こす結果になりました。

引き続き、2007年(平成19年)6月にアメリカで大手の証券会社である「ベアスターンズ」社の傘下であったヘッジファンドが、サブプライムローンに関連した運用に失敗したことが明らかになり、問題は金融市場全体に急拡大することになりました。

更に追い打ちをかけたのが、同年7月にアメリカ格付け会社のムーディーズが、サブプライムローンを組み込んだ「住宅ローン担保証券」の大量格下げを公表した事でした。

その結果として、健全な一般投資家らの不安を煽り、心理的に市場からの撤退を考えさせたことで、より広く融資や信用供与のシステム全体における動揺をもたらす結果になりました。

こうして、各金融機関や融資専門会社等が次々に破綻していくことになりました。

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③ 最悪のシナリオ ~リーマン・ショック~

金融機関の状況の悪化とともに、さらなる最悪のシナリオが歴史的に進行します。

上述のように金融市場全体の不安心理から、資産価格の暴落が起こってしまいました。

そうなれば、雪だるまが急坂を転がり落ちるように周囲を巻き添えにしながらグングンと悪影響が出ました。

当然、サブプライムローンなどの返済延滞率は更に上昇し、差し押さえ件数も増加の一途をたどりました。

アメリカ合衆国政府は、この状況に2008年(平成20年)9月に財務省より追加3兆ドルの救済策を講じました。

しかし、一旦転がり始めたものは止まることを知らず、アメリカ合衆国の投資銀行の一つであった「リーマン・ブラザーズ・ホールディングス」が、膨大な損失を抱えたことが発覚、同年9月15日、月曜日に、連邦倒産法第11章の適用を連邦裁判所に申請するに至ってしまいました。

ちなみに、「リーマンショック」という言い方は日本だけで、一般的に世界で通じる用語としては、“the financial crisis of 2007–2008”とか、“the global financial crisis”と言ったりします。

また、この危機の端緒が月曜日であったことから「ブラックマンデー」と俗称される場合がありますが、正確には誤用で、単に「ブラックマンデー」と言われる場合には、1987年(昭和62年)10月19日の月曜日に香港を発端におきた世界的株価大暴落のことを指します。

奇しくも同じ月曜日に発生した危機ではありますが別物ですので注意してください。

ここではリーマンショックに関しての文献や調査報告は日本語でも山ほどありますのでそちらに譲ることにします。

詳細な解説は行いませんが、このクライシスにより、以下に示すような金融不安を招いたことだけは事実です。

・ 同社が発行している社債や投信を保有している企業への悪影響

・ 取引先への波及と連鎖などへの不安心理

・ アメリカ合衆国議会及びアメリカ合衆国連邦政府の対策の遅れ

以上の3つの不安から、世界的な金融危機へと連鎖する結果になりました。

応急措置として、2008年10月にアメリカ合衆国政府は金融システム対して7,000億ドルの金銭支援を行う緊急経済安定化法案(Troubled Asset Relief Program)を発動するに至ります。

一方日本では、日経平均株価(TOPIX)に対しても影響し、大暴落を起こしました。

9月初旬の終値は12千円程度だった株価が、10月下旬には一時6千円台にまで下落し、1982年(昭和57年)10月以来、26年ぶりの安値を記録するに至りました。

以上がサブプライムローンの破綻からリーマンショックに至るまでの負のスパイラルをご紹介しました。

サブプライムローン問題を教訓に! ~2019年から2020年に活きる~

さて、最終章ではこのサブプライムローン問題が10年以上前に発生した金融破綻で原因も状況も理解した上で、2019年から2020年の現代に活きる教訓となることをご紹介しましょう。

冒頭でも述べましたように、現代社会でも金融工学に基づくありとあらゆる金融商品が全世界を席巻しています。

ある種マネーゲームの様相を呈しています。

このような中、賢く金融商品で利殖することを考えていかなければなりません。

そのためには、その金融商品が持つリスクを十分検討し考えなければならないということになります。

サブプライムローン破綻に端を発したリーマンショックでは、全世界的な金融収縮によって、ありとあらゆる金融商品がシュリンク(収縮)してしまいました。

懐勘定に余裕のある機関や個人においても本業で利益が大きく出ている場合でも全ての関係者が何らかの影響を受けました。

リスクを最小限に抑え、メリットを最大限にするには、まず損をしないことでしょう。

サブプライムローン問題でも、合法的に大きく利殖できた機関や個人も少数ですがいたわけです。

そのため、現代に生きる私たちもそれに倣うことが大切になります。

そこで今、2019年から2020年にかけてそれを見極めるために、高金利を謳い、顧客を集めている金融商品で、サブプライムローンの再来かと危惧する声のある2つの金融商品をご紹介しましょう。

ただし、ここで紹介する金融商品がリスキーで危険度の高い荒唐無稽まものではなく、それなりに利潤を得られる金融商品であることだけは念頭に置いてください。

① CLO(ローン担保証券:“Collateralized Loan Obligation”)

このCLOは、日本語では、「ローン担保証券」と呼ばれています。

ローン担保と言えば、今までご紹介してきたサブプライムローンを思い浮かべてしまいますが、このCLOは企業向けローンだということで融資対象が大きく変わっています。

2019年終盤において、アメリカにおいても日本と同様に超低金利時代にあります。

つまり、企業としては金融機関からお金を借りやすい金利状況にあると言えます。

しかし、小規模企業や過去に何らかの金融瑕疵のあった企業など信用力の低い企業には貸し出しが難しいのは厳然とした事実として存在します。

そのため、そうした信用力が低い企業を集約したローン担保証券がこのCLOです。

当然返済にリスクがある分、金利が高く設定されています。

具体的には、年利10%の設定のものまであります。

年利として大変魅力ある設定で日本でも注目されています。

某アメリカの資産運用会社では、日本の年金基金などから1,500億円以上の預託を受けてCLOを運用しているという話もあります。

このCLOについてアメリカ全土での規模は約6,000億ドルで、日本円に換算すると約64兆円にも上ります。規模的にも巨大な規模ですがリスクもそれなりにあります。

そこで、そのリスクを以下に簡単に列挙します。

① CLOに組み込まれた企業が借金を返済できなくなるリスク

② 誰がどのぐらいCLOを所有しているか十分に分かっていないリスク

③ 金融機関などが所有しているのは分かっても、お互いがどう連関しているのかまで分からないリスク

上記の①~③を見ていただいても、サブプライムローンに近似しています。

現代社会において、金融市場が一旦、不安定になれば、周辺の圧倒的多数の人々がパニックになる可能性が高いと言わざるを得ません。

アメリカの連邦準備銀行FRBの高官もこのCLOについて、そのコメントで「このCLOは、サブプライムローンほどのリスクは無いにしても、全く安全だとは言えず、グレーなものだ」と言っているくらいです。

しかし、機関投資家などから見れば、全世界的な低金利時代に高金利な運用は垂涎の的であり、大きな利潤を確保する金融商品として魅力あるものに映っています。

日本におけるこのCLO利用については、最も大きくCLOを購入している機関が「農林中金」で、2019年3月の時点で7兆円余りの保有を行っています。

この規模は市場全体のほぼ10%弱になり、農林中金は現地で「CLOのクジラ」とも呼ばれたりしています。

この章の初めにも書きましたが、CLO=リスクではありません。高金利で回す金融商品であり、格付け会社による格付けもトリプルA(AAA)に格付けされた金融商品であることから農林中金としては適正な運用を行っているというコメントを出しています。

現代において10年以上の前のサブプライムローン問題と類似している点は、当初破綻までは、サブプライムローン債についても良い格付けがなされていたことがあります。

また、当時はアメリカ国内の地価高騰が追い風で問題を助長しました。

現在では、2020年11月3日に予定されているアメリカ大統領の中間選挙があります。

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現職トランプ大統領が圧勝するためには、景気自体が維持されていなければならず、さらなる低金利政策を要望しています。

現在、弾劾裁判などで頭の痛い話の多いトランプ大統領もこの点は心得ており、CLOの破綻はこの時期までは無いと考えられます。

② 非QMローン(不適格モーゲージ:“non-qualified mortgage loan”)債

さて、次にこの非QMローンです。

性懲りもなくという言葉がありますように、再び「サブプライムローン」の再来を予感させるローン債券のことです。

日本語では「不適格モーゲージ」と呼ばれることもあり、問題のある財務履歴を持つために通常の融資審査をクリアできない借手に供与されるローンを債権にしたものを言います。

まさしく、サブプライムローンの再来です。

この非QMローン債権は、2019年既に180億ドル、日本円にして1兆9,600億円にまで膨らんでいます。

前年の2018年を44%も上回った実績を示しています。

しかし、このローンの性格上当然ですが、返済率は一般のローン返済率とは明らかに異なっています。

一部の非QMローン返済遅滞率が2019年現在約3%から5%に上ることが報告されています。

アメリカの一般的な連邦住宅抵当金庫によるローンの返済遅滞率が0.7%であることから、相当悪い結果が出ていることになります。

この勢いは、上のCLOでも一部言及しましたように、アメリカの好景気に支えられていると言っても良いでしょう。

借手側とすれば、好景気に支えられ返済できている場合が多く、また貸し手側からすれば好景気と言ってもやや鈍化傾向にあり、高金利金融商品に人気が集まるという現象を示しています。

このことは、この非QMローン担保証券では表面金利が約3.5%前後を示し人気が出ている事でも分かります。

しかし、このアメリカにおける好景気基調が一気に冷める時、あるいは不測の歴史的事件などの影響を受け、破綻に向かう可能性が無いとも言えません。

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まとめ

2019年から2020年にかけて、アメリカでは多くの「ジャンク債」や「プライベートクレジット」の需要が大きく前年より増加している現状にあります。

その状況はやや金融加熱と言っても良い状況になっていると見る専門家もいます。

短期でベネフィットをそこそこ取るには良い判断かもしれませんが、長期に眺めてみた場合には難しい局面が多くなってくることは確かでしょう。

メインテーマであるサブプライムローンに教訓を得て投資家サイドから見た場合の論調でご紹介しました。

一般の趣味で行っている出資者では中々分からないことが金融界の上層領域では繰り広げられているとしか言えません。

皆さんも、是非その点に気を付けて楽しい投資を行ってみてはいかがでしょうか?

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