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シンガポールの老後の社会保障の年金制度と健康保険の仕組みとは?

シンガポール

アジアの都市国家、シンガポールは日本以上に少子高齢化が進んでいます。

そんなシンガポールにおける社会保障はどのようになっているのでしょうか。

今回は、シンガポールの年金制度と健康保険の仕組みについてご紹介したいと思います。

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シンガポールの高齢者事情

シンガポールの年金・健康保険を説明するにあたっては、シンガポールの人口構成や高齢者の置かれている現状を説明することが必要不可欠です。

シンガポールの総人口に占める高齢者人口(65歳以上の者)が占める割合を高齢化率と呼び、7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ばれます。

2016年の時点で、シンガポールの高齢化率は12.4%となっていて、2030年には24%に達すると見込まれています。

高齢化率が7%から14%に上昇するまでの期間を「倍加年数」と呼びます。

各国の倍加年数は、フランスが115年、アメリカが72年、日本で24年です。

シンガポールにおいて倍加年数は20年となると見込まれています。

つまり高齢化するスピードはわが国よりもシンガポールは速いということです。

また、この値はアジアNIES、ASEAN諸国の中においてもシンガポールは最も短いことも明らかになっています。

シンガポールではなぜそれほどまでに高齢化するスピードが速いのでしょうか。

それは、シンガポールの経済の急成長にあるといえます。

1960年から1970年頃、シンガポールはベビーブームにありました。

この出産による人口増加に、経済の成長が追いつかないことを懸念して、シンガポールの政府は家族計画キャンペーンを導入しました。

これは、出産は家族において2人までを推奨し、避妊に関する施策を行うというものでした。

それにとどまらず、シンガポールの政府は3人目の出産休暇を廃止し、3人目以降の子供に対する制限を設けました。

これらのシンガポールの政策の影響で、1980年代の出生率は非常に低い値を記録しました。

その低さを危惧した政府はそれまでとは打って変わって、出生率向上を目的とした施策を導入しました。

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しかしそれまで行われていた出産抑制の施策が浸透し過ぎていたため、平均出産率はなかなか上昇する兆しを見せないというのが現状になっています。

シンガポールのベビーブーム世代の影響もあり、高齢化率は近年急激に増加していますが、先に述べたような要因によって、同時に若年層の割合も著しく減少しています。

そんなシンガポールの高齢者の将来については、悲観的に論じられることは多くありません。

シンガポールと同様に少子高齢化の進む日本においては、その影響で年金制度が破綻しつつあると言われますが、どこに違いがあるのでしょうか。

その理由について、説明していきたいと思います。

シンガポールの年金制度

シンガポールにおける年金制度はCPF(中央積立基金拠出金/Central Provident Fund)と呼ばれるシステムで運営されています。

構造としては、賦課方式ではなく積立方式の確定拠出年金となっています。

シンガポールの賦課方式は、その時の現役世代の納める保険料によって、その時の受給世代への給付を行う方式です。

積立方式は自身の老後のために、現役世代の頃から資金の積み立てをしておく方式になります。

積立方式のメリットとしては、賦課方式と比較して高齢化の影響を受けにくいという点があります。

デメリットとしては、積み立てた資金以上の給付を得ることができないため、平均余命の想定外の延びが起きた際に厳しい条件となる、という点が挙げられます。

CPFにおいては、設けられた個人口座に資金を積み立てますが、それが使用されるのは年金に限定されているわけではありません。

シンガポールの年金向けの「特別口座」、医療向けの「医療口座」、そして住宅購入や教育等に使用される「普通口座」が存在しています。

CPFの加入対象者は、シンガポール人または永住権を所有している者のうち、被用者(会社に雇用されている者)と自営業者になります。

加入対象者には一人ひとりに個人口座が設定されます。

2012年時点において、CPFへの加入者数は342万人であり、そのうち現役世代が179万人となっていました。

拠出については、月額賃金、雇用主と被用者、またそれぞれの口座によって拠出率が定められています。

35歳から5歳区切りで基準が設けられていますが、そのうち、35歳以下、50~55歳、65歳超に絞った具体的な拠出率を比較してみます。

なお、以下に示す数値は月の賃金が750シンガポールドル以上の場合であり、750シンガポールドル以下の場合は別に定められているということをご了承ください。

まず35歳以下ですが、雇用主が16%、被用者が20%拠出することになっており、合計の拠出率は36%となっています。

これを普通口座、特別口座、医療口座に23%、6%、7%の割合で配分します。

50~55歳に関しては、雇用主が14%、被用者が18.5%で合計が32.5%となり、13.5%、9.5%、9.5%の割合で配分します。

65歳超の者については雇用主が6.5%、労働者が5%、合計が11.5%、配分は普通、特別、医療の順に1%、1%、9.5%となっています。

これらの数値を比較すると、年齢が増加するにしたがって雇用主、被用者の拠出率はともに減少していき、その減少幅は被用者側のほうが少ないことがわかります。

また、配分率に関して言えば、若年層では普通口座への配分が主なものとなっていますが、高齢者においては普通口座の割合は非常に低く、そのほとんどが医療口座に配分されているということがわかります。

定年後に関しては就労による収入も減少し、医療サービスを使用する可能性が増えるためこのような拠出率と配分率になっているといえるでしょう。

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シンガポールの2つの年金制度

まずはシンガポール年金制度に関係する、特別口座から説明していきます。

CPFの年金の制度には2種類存在しています。

1つがMinimum Sum Scheme、もう1つがCPF LIFEと呼ばれるものです。

2013年の改正まではこの2つの制度のいずれかを任意で選択できるようになっていましたが、2013年以降は、一定の条件を満たす者はCPF LIFEに加入するものと変更されています。

シンガポールのMinimum Sum Scheme

この制度は、20年間の間老齢年金が給付されるものです。

加入者は、55歳以降、一定額を口座に残しておけば引き出すことができるようになっています。

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シンガポールのCPF LIFE

CPF LIFEの加入者数は2012年時点で7万8千人であり、受給資格を有する者は2万8千人以上となっています。

こちらのシンガポールの制度と先に述べたCPF LIFEとが大きく違う点は、年金の支給期間に制限がなく、生涯にわたり支給が行われるということです。

前述したように、CPF LIFEは、2013年以降は一定条件を満たす者は自動的に加入するかたちへと変わりました。

具体的な規定としては、55歳の時にCPFの残高が4万シンガポールドル以上の者、またこの条件を満たせずとも65歳の時点で残高が6万シンガポールドル以上であることが定められており、いずれかを満たしていれば自動的にCPF LIFEに加入となります。

シンガポールの年金の受給開始年齢は2018年時点で65歳と設定されています。

受給において最低加入期間は存在せず、前述したように定められている額を積み立てていれば良いものとなっています。

CPF LIFEには「標準プラン」と「基本プラン」という2つのプランが用意されています。

標準プランは給付が高く遺産が低めになっており、基本プランにおいてはその逆で給付が低く遺産が高めに設定されています。

シンガポールの年金制度は前述の通り賦課方式でなく積立方式であるため、高齢化により高齢者が増加し、現役世代と年金の受給世代のバランスが崩れることで現役世代の負担が重くなるという心配はありません。

しかし医療技術の進歩等に伴う長寿化によるリスクは存在しています。

シンガポールの平均余命の推移について見てみましょう。

World population prospectsの2017年のデータによれば、1950年頃には男性の平均余命が60歳以下、女性が65歳以下でしたが、2000年前後には男性の平均余命が75歳、女性が80歳に達しており、平均余命が急速に上昇していることがわかります。

今後の予測を見ると、その伸びは若干甘くなるものの、上昇していくということに変わりはありません。

2050年頃には、シンガポールの男性が85歳、女性が90歳近くになると予測されています。

シンガポールの高齢者と家族の関係

また、シンガポールの高齢者労働参加率は上昇しています。

Ministry of Manpowerによる2004年と2014年のデータを比較してみると、男性の50代を除いた全ての世代において労働参加率が上昇しています。

2012年には再雇用法が定められました。

従来は、法で定められた退職年齢は62歳となっていましたが、65歳と提案するよう義務付け、将来的には67歳への引き上げをする見通しとなっています。

高齢者の労働参加率上昇の背景には、このような施策が影響していると考えられます。

また、シンガポール政府はそれに加えて高齢者の雇用可能性を高める施策にも注力しています。

また2012年から2016年まで行われていた、労働者を雇用する側をサポートする制度も要因の一つであるといえます。

Special Employment Creditと呼ばれる還付金制度で、企業が50歳以上・月の収入が4000シンガポール以下の労働者を雇用した際、月の賃金のうち8%が支給されるというものでした。

このように、シンガポール政府は高齢者に向けて様々な施策を実施してきていますが、その大元にあるのは、自分の老後の生活は自身が担うといった姿勢といえます。

さて、労働参加率は上昇していますが、収入はどうなっているのでしょうか。

Ministry of Manpowerのデータによれば、2014年時点において65歳以上の収入(就労によるもの)は1000~1499シンガポールドルの範囲が30%を超え、他の水準と比較し群を抜いて多くなっています。

日本においては、高齢者は家族の支援のみでなく、社会全体でサポートするという考え方となっていますが、シンガポールにおいてはその様相に違いが見られます。

シンガポールにおいて、福祉の担い手となる存在は第一に家族という考え方が浸透しています。

同国では2010年の時点で65歳以上の者の8割以上が、配偶者もしくは子供と同居しているということが明らかになっていることからも、その事実が良くわかるかと思います。

それでは65歳以上の人々が受けている金銭的支援の元を見てみましょう。

2010年の時点で、6割以上が子供からの金銭的支援とそのほとんどを占めています。

次点の雇用・事業等の所得は約12%となっています。

しかし、高齢者を支えるのは家族という形態は、徐々に変化しつつあります。

近年では、高齢者が1人で住む割合は増加傾向にあり、それとは逆に、子どもとのみ生活する世帯は減少傾向にあります。

これにより危惧されるのは、子供から金銭的支援を受けられず生活水準が非常に低い高齢者が増加していくことであるといえます。

中低所得者層にとっては十分な水準であり、制度の対象・目的としているのもそこであると、CPFのCEOも述べていますが、CPFの給付は高齢者の生活を支えるのに十分ではないという意見も浮上しています。

ウイリス・タワーズワトソンが発表した、「世界の年金基金ランキング」で、2012年に発表されたデータでは、シンガポールは4位を記録していましたが、2018年に発表されたデータにおいては9位にまでランクダウンしています。

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シンガポールの私的年金

ここまで述べてきたように、シンガポールの年金制度の核となっているCPFだけでは、老後の生活水準を維持することが難しいのでは、という議論がなされています。

より豊かな老後の生活を送るために、シンガポールの政府は2001年にSRSと呼ばれる制度を導入しました。

SRS(Supplementary Retirement Scheme):補足退職スキームと呼ばれるこの制度は、個人の確定拠出型年金になります。

本人または雇用主が拠出し、株、保険、投資信託など様々な商品に投資し運用することができます。

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シンガポールの基金の引き出しは原則として退職年齢を超えてからとなっています。

SRSの特徴は、非常に大きな税制優遇措置が取られているということです。

拠出、運用時はともに非課税であり、給付時の課税対象は引き出し額の50%とされています。

このシンガポールの制度はこれまでに何度か改正されてきました。

2008年に行われた改正では、従業員のSRSへ雇用主が拠出をすることが可能となりました。

この拠出は従業員の所得とみなされますが、拠出上限まで所得税は非課税となります。

加えて、従来は拠出の年齢制限が62歳とされていましたが、その上限が無くなり引き出しを始める時まで拠出を続けることができるようになりました。

2011年には、拠出の上限額が引き上げられています。

最新の改正では、3点の機能強化がなされました。

1つ目が、引き出しの特別許可です。

2015年7月1日から投資の形態で引き出しを行うことを許可しました。

2つ目が免税です。

死亡時、または末期の病気を理由として引き落とされたSRSの基金に対して、最大で40万ドルの免税を行うと定められました。

3つ目はSRSの拠出金の上限を引き上げるというものです。

SRSの加入対象者は、18歳以上のシンガポール人、永住権を所有している者、外国人となっています。

免責未決済破産者でないこと、精神疾患がなく自己管理のできる者であることも同時に規定されています。

複数の口座を同時に持つことはできません。

2012年の時点でSRSの口座を持っている者は82512人に達し、拠出額合計は36.4億シンガポールドルとなりました。

口座数は上昇しているものの、普及が拡大する余地はかなりあるという見解が発表されています。

老後のより豊かな生活を提供するために導入されたSRSですが、今後もより一層の普及、また普及に伴う改正が必要になっていくといえるでしょう。

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シンガポール年金制度まとめ

シンガポールの年金制度はCPFと呼ばれる制度に組み込まれており、賦課方式である日本の制度と違う積立方式となっています。

そのため高齢者の人口が増加しても現役世代の負担が増加しないというメリットがあります。

デメリットとしては、医療技術の進歩等に伴う長寿化によって、積み立てた資金を使い切ってしまう可能性が高くなる点が挙げられます。

シンガポールにおいては配偶者や子供からの金銭的支援・介護が一般的であるため、生活水準を維持することは他国と比べて難しくはないといえますが、その生活形態自体にも変化が訪れており、家族からの支援を受けることのできない高齢者の支援が重要になるといえるでしょう。

より豊かな老後の生活を高齢者に送ってもらえるよう、私的年金を奨励するなど取り組みが行われています。

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シンガポールの健康保険制度

シンガポールの健康保険制度、つまり医療保険制度は大きくメディセーブ、メディシールド・ライフ、メディファンドの3つに分けることができます。

まずはメディセーブですが、これはCPFが関係してきます。

冒頭で述べた通りCPFにおいて積み立てを行う個人口座には、普通口座、特別口座、医療口座の3種類があります。

そのうちメディセーブに関係するのは医療口座になります。

入院、手術、人工透析といった医療サービスに掛かる医療費がこの医療口座より支払われます。

2012年時点で支払総額は7.7億シンガポールドルとなっています。

シンガポールの被保険者としての資格を有するのは、シンガポールの雇用者である国民・永住権保持者・一定額以上の収入を有する自営業者等になります。

これらの人々は、CPFの加入に義務を持つ者でもあります。

シンガポールの給付の対象は、加入者本人及び家族です。

メディセーブのメリットとしては3つほど挙げることができます。

1つが、積み立てた資金について4%という高い利息がつくということです。

2つ目が、積立金の家族への適用が可能ということ、3つ目が、医療費として使用しなかった積立金の残高は個人の資産となるという点です。

メディセーブに関しては、適用範囲内の医療サービスにおいては、日本の健康保険のような自己負担はありません。

ただし、CPFの個人口座の医療口座へ積み立てられた資金は、外来診療における医療費や、歯科、出産等の医療サービスへ適用することができず、それらの医療サービスを利用する際には全額自己負担ということになります。

それをカバーするための制度が、これから説明するメディシールドやメディファンドと呼ばれるものになります。

メディシールド・ライフは、前述したメディセーブの適用範囲を超えた(高額である、長期間医療費の支出継続がある場合等)医療サービスのサポートを行うものとなっています。

これは2015年までメディシールドと呼ばれる制度があり、そこから移行した新制度となります。

シンガポールの新制度の利点を説明するために、まずは前の制度であるメディシールドからご紹介したいと思います。

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メディシールドは、前述のメディセーブに加入している者は、原則として加入することと定められていました。

メディセーブの加入者はメディシールドへの加入を自発的に辞退しなければ、自動的に加入するようなシステムになっています。

ただし任意で脱退することが可能です。

シンガポールの給付の対象は本人のみで、種類としては入院費、慢性疾患、高額な治療・検査等の医療費が該当します。

病室のレベルによって保険免責額が定められている他、金額によって自己負担額も決められています。

具体的には、Cクラスの病室が1500シンガポールドル、B2クラス以上が2000シンガポールドルの保険免責額となっています。

病室のレベルとしては、クラスC、クラスB2はどちらもエアコン無しの大部屋となっています。

クラスB1、クラスAという括りもあり、そちらの方が病室の環境は良いものとなっています(クラスAは個室、クラスB1が3、4人部屋)。

金額による自己負担額の割合としては、3000シンガポールドルまでが20%、3001~5000シンガポールドルまでが15%、50001シンガポールドル以上が10%と定められています。

メディシールドの財源は保険料です。

年齢ごとに保険料が定められていて、例えば10~20歳が年間50シンガポールドル、86~90歳が1190シンガポールドルとなっています。

本人と、その家族の納める保険料はCPFの医療口座の資金を利用することができます。

シンガポール政府の提供するこの医療保険制度は、公的病院を対象としており、それよりも高いサービスを望む者については、民間保険会社が運営する医療保険のプログラムに加入することも可能となっています。

2013年時点において、中央積立基金庁が認可している民間保険会社はAIA、AVIVA、Great Eastern SupremeHealth、NTUC Income、Prudentialの5社になります。

メディシールドの代替プランにあたる、ベーシックプラン、クラスB1、クラスAなどに分類される様々なプランが提供されています。

メディシールドにおいてのデメリットとしては、長寿化が進んだことにより一部高齢者が加入できないという事態が発生していました(92歳以上の高齢者)。

その他にもあった課題を改善するため、メディシールドが現在の形態となるまでの間に、何度か改正が行われてきました。

2012年には、年間限度額の引き上げを実施しました。

その他に、生涯の限度額の引き上げ、救急による短期入院の医療サービスの補填、精神科入院のカバーなども合わせて行われました。

これらの改正によって保険料の変更が行われました。

シンガポールの高齢化や医療の進歩に伴う医療費の増加などの様々な要因が重なった結果でした。

ただし、後述しますがその負担を軽減するための措置は取られています。

その後、2013年のシェンロン首相の演説では、メディシールドを新制度であるメディシールド・ライフへと変える計画が発表されました。

それではここから、メディシールドとメディシールド・ライフの主な違いについて説明していきたいと思います。

新制度のメディシールド・ライフにおいては従来のメディシールド保険と比較して大きく違っている点が2つあります。

1つ目が、加入対象者の年齢制限がなくなったことです。

シンガポールの保険加入の資格保有者は、原則として全員加入となりました。

先に述べた、従来制度では対象外であった92歳以上の高齢者という課題がこれで解消されたこととなります。

2つ目が、年の給付額の上限が引き上げられ、給付額の上限に関しては撤廃されたということです。

従来の制度では年の給付額上限が70000シンガポールドルでしたが、新制度では100000シンガポールドルへと上昇しています。

また、この2つの相違点以外にも、細かい点において様々な変更がなされました。

疾病に対する給付の上限については、以下のような違いがあります。

まずは入院に対しての給付です。

通常の病室の場合、1日あたり450シンガポールドルであった給付の上限が、1日あたり700シンガポールドルにまで引き上げられました。

同様に、集中治療室においては1日当たり900シンガポールドルから1200シンガポールドルに、外科手術に関しては手術の中身によって異なりますが、150~1100シンガポールドルという給付の範囲が200~2000シンガポールドルへと変わっています。

次に外来の診療に関してですが、がんの化学療法については21日/28日周期ごとに1240シンガポールドルが上限であったものが、ひと月あたり3000シンガポールドルへと変更になりました。

がんの放射線治療のうち、外部または表面的治療については、期間中80シンガポールから140シンガポールドルまで引き上げられました。

がんの放射線治療のうち、小線源治療と呼ばれるものに関しては、期間中160シンガポールドルであった上限が500シンガポールドルへと上昇しています。

最後に、腎臓透析に関してですが、これのみ従来の制度と新制度の双方が、期間中1000シンガポールドルと同じ水準となっています。

加えて、本人の負担額の割合も変化しました。

3000~5000シンガポールドルが10%、5001~10000シンガポールドルが5%、10000シンガポールよりも高額な医療サービスについては3%となっています。

従来の制度よりも高額な医療サービスについてもカバーする改正となっているほか、従来の制度よりも自己負担の割合が同額の医療サービスにおいて大きく減少しているのも着目すべき点であると言えます。

財源は保険料で、年齢によって保険料が定められていますが、これに関しては先に述べたように上昇しています。

具体的には1~20歳で130シンガポールドル、86~90歳で1500シンガポールドルとなっています。

さて、保険料が上昇したことで加入者の負担は上昇するわけですが、それを軽減する対策がいくつか取られました。

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1つ目が、期限を設けた措置です。

シンガポールの国民および永住者の加入対象者の全員において、4年間の軽減を行うこととしました。

初年度は従来の制度と比較して上昇した保険料の90%にあたる分を助成し、2~4年目に関しては1年ごとに、70%、40%、20%と段階を踏んで助成する額が減少していくことと定められました。

2つ目が、低所得者および中所得者に対する、永続的な対策です。

以下の3つの条件を満たす者が対象者となり、15~50%の助成がなされます。

条件としては、世帯の収入がひと月あたり2600ドル以下であること、住居の年間評価額が21000シンガポールドル以下であること、定められた財産を保有していない者です。

3つ目が、シンガポールの建国の時代を支えた世代に関する施策となります。

この施策に関しては、上記のような収入による条件等は設けられておらず、40~60%の保険料の助成が行われます。

1940~1949年に生まれた者に関してはおよそ半分の保険料に、1939年以前に生まれた者に関しては保険料を支払わなくて済むこととなります。

最後に、メディファンドです。

この制度は、先に述べたメディセーブやメディシールドのような制度を利用してもなお医療費を支払うのが困難である低所得者を支援するためのものとなっています。

この制度を運営しているのは、メディセーブとメディシールド・ライフを運営していた中央積立基金庁と異なり、メディファンド委員会と呼ばれるところになります。

シンガポールの保険の加入資格を持つ者は、シンガポール国民となり、給付の対象は本人のみと定められています。

給付の種類については大きく入院費、外来診療費、介護費用の3種類に分かれます。

メディシールド・ライフに関しては自己負担が存在しましたが、メディファンドはメディセーブと同様に、自己負担は存在しません。

財源に関してはメディセーブ、メディシールド・ライフの双方とも異なり、保険料の支払いはなくその全てが国庫の負担となっています。

2016年時点でのメディファンドへの申請数は約114万人であり、当該年の支払総額は1億4千万シンガポールドルに達しています。

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シンガポール健康保険まとめ

シンガポールにおいてCPFは年金制度だけでなく、医療保障に関する医療口座を設けています。

CPFに加入している者は自動的にメディセーブとよばれる制度に加入することとなり、医療サービスを受けることとなります。

メディセーブが適用される範囲においては、日本と異なり自己負担割合が存在しません。

メディセーブではカバーすることのできないより高額な医療サービスに関しては、メディシールド・ライフやメディファンドと呼ばれる上位の制度が存在しています。

メディシールド・ライフに関しては近年、大幅な改正が行われ、加入対象者の年齢制限は廃止し終身制とし、給付の上限も大きく変わりました。

それにより保険料は上昇しましたが、国民の負担を減らすべく様々な施策が導入されています。

早いスピードで進む高齢化に対して様々な取り組みがなされており、期待が高まっています。

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