パリ協定とは?アメリカトランプ大統領離脱理由と日本の対応について

アメリカ

世界環境を左右する「パリ協定」とは? ~アメリカトランプ大統領離脱理由と日本の対応について~

今回は、全地球的な自然環境を左右すると言われている「パリ協定」についてご紹介したいと思います。

地球温暖化が叫ばれて長くなりますが、全世界的な気候変動による災害や異常気象が頻発する中にあって、どのような動きになっているのかについても合わせてご紹介できればと思っています。

また、読者諸兄も感じておられる内容だとは思いますが、「なんとなく地球環境が悪くなっている」「具体的な動きが見えない」「国連は何してるの?」というような漠然とした疑問があると思います。

筆者もこのテーマについて突っ込んで調査するまではそういう疑問が満載でした。

最近では、国連総会でスウェーデンの16歳の少女「グレタ・トゥーンベリ」さんが、泣きながら訴えた地球温暖化対策への積極的行動について世界のマスコミが報道したことを記憶する程度です。

それになんとなく、ここでタイトルにもあげましたドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領が、この「パリ協定」から脱退を表明したというニュースが飛び込んできました。

その程度の知識とこれまでに積み上げてきたニュースソースアーカイブ、データブックなどから今回はご紹介したいと思います。

ただし、このコラムを執筆するにあたり、事前にいくつかのレポートやデータを調査しましたが、途方もない数値データや高等数学が散見され、そうしたものに親和性のあまりない筆者としては、そうした数値データは極力抑え、その数値データが示す結果のみをご紹介したいと思います。

後ほどご紹介しますが、この地球温暖化の問題に対して、そもそもその理論や主張に対して、懐疑的なグループが存在します。

そうした人たちに対抗する意味で、肯定派の人たちは、数値のデータや科学的実証結果を詳述することで、これら懐疑派の人たちを論破しようとしているせいでもあります。

前出のグレタ・トゥーンベリさんの主張の中にも、「科学者の言っていることを世界の政治家は信用しなさい」と訴えていたことの遠因でもあります。

そこで、このコラムでは地球温暖化は「是」であり、確実に地球は「温まってきている」ことを前提とします。

その前提が揺らぐと収拾がつかなくなってしまいます。

また、この問題を概括的且つ総合的に理解しようとすれば、20年以上前の1997年に結ばれた「京都議定書」と呼ばれる世界的な協定から始めなければなりません。

つまり、「京都議定書」→「パリ協定」という流れで地球温暖化対策をご紹介したいと思います。

そのため、多くの部分をこの京都議定書の内容に割くことになりますが、その後継協定が、「パリ協定」になっていることから、この京都議定書の内容を十分理解しておかなければ、次に進めないということになります。

しかし、一方でこのコラムの読者は現時点でアメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ氏が、このパリ協定からの脱退を正式表明したという事実の裏側には何があるのか知りたいと思われている方々も多くいると思います。

そこで、筆者としては一般的なコラムニストが執筆する順とは異なり、まずこの話題から入りたいと思います。

トランプ大統領の表明した「パリ協定脱退」と地球温暖化に関する詳細な規定、ルール、申し合わせ、合意事項等々詳細な内容とは「全く関係が無い」ところの動きです。

そのため、彼のこの行動の原因から結果までを独立したパラグラフで取り上げても、何ら脈絡には影響しないと思えるからです。

そのため、ここでは、トランプ氏のパリ協定からの脱退表明の次に京都議定書、パリ協定とした方が読者諸兄の意に沿う形になると考えました。

アメリカ合衆国トランプ大統領がパリ協定から脱退したホントの理由

地球の表面積?と聞かれて正確に答えられる人は何人いるでしょうか?

答えは5億1千万平方キロメートルになります。

地球物理学的には、この表面を大気がベールのように覆っています。

宇宙的に見て、この大気はほんの薄いベールであり、この下に住んでいる地球人は、ゴミのような存在です。

なんだか悲観的な言葉ですが、全宇宙的に見ればそうなります。

それとトランプ大統領とどう関係するのか?と言われるかもしれません。

トランプ大統領の場合、こうした巨視的な見方をすることはありません。

次世代を担う子々孫々のことを考えての長期スパンのことなどどうでもう良いことのように思えます。

一方、現在全世界の人口はどの程度いると思いますか?概ね77億人になります。

一頃昔は64億人などと思っていたのは。

今は昔になりました。

この77億人の人口が、2030年には85億人、2050年には97億人、2100年には112億人になると国際連合の人口推計報告で発表されています。

これは主にアフリカを代表とする発展途上国における人口爆発に起因します。

今回テーマである地球温暖化の問題が、現実問題として、人類にとって大きく致命的なこととして体感できるのは、2100年頃の話になります。

それまでにも数々の災害や災難などが世界を覆いつくしますが、人類存亡の危機はこの時代になると見る識者も多くいます。

トランプ大統領の場合、その頃は既に亡くなっているでしょう。

2050年世界人口が85億人の時代にも、既にいないことは確かです。

改めて、トランプ大統領は1946年6月の生まれです。

日本で言えば昭和21年、第二次世界大戦終戦の翌年に生を受けたことになり、2019年現在では73歳です。

通常これくらいの年齢になれば子や孫、ひ孫の将来を心配するのが当たり前ですが、トランプ大統領の場合は違うのです。

よくトランプ大統領のことをビジネスマン出身とか実業家出身という言葉が枕詞となって紹介されます。

しかし、現在彼は「大統領亡者」ともいうべき存在になっています。

つまり、大統領職に固執し、次期大統領選挙のことしか頭にない状態です。

彼は、就任直後よりこの姿勢が貫かれており、その側面は尊敬に値します。

つまり、彼の標語である「Make America Great Again」(再びアメリカを偉大な国に)ということに象徴されています。

つまり、超保守主義を訴えかけ、選挙民の票を獲得しようとしているのです。

そのためにはなりふり構わない姿勢で臨んでいます。

中国との貿易戦争も一つ、イランからの撤兵も一つ、北朝鮮との交渉中断も一つ、ウクライナ問題も一つ、そしてパリ協定からの脱退も一つになっています。

全てが国内世論に向けた行動で、いかに1票でも多くの有権者の票を獲得できるかということに徹底しています。

ここでは、主題から離れるのでパリ協定からの脱退以外は言及しませんが、トランプ大統領の行動原理は、選挙にしかありません。

皮肉にもパリ協定からの脱退宣言は行ったものの、その脱退が認められる日が、2020年11月3日であり、奇しくも次回のアメリカ大統領選挙が翌日の4日になる見通しになっています。

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これが何を意味するのかということもありますが、彼の行った国際的活動の大団円がこの日になることは間違いないでしょう。

つまり、彼はパリ協定を脱退することで、化石燃料の採掘に従事する炭鉱労働者やその他、この協定で割りを食う人々の票が欲しいということになります。

更に、それを露骨に集票活動だと見せないのが上手いところです。

ツイッター等の投稿に見られるように、自身はアメリカのことのみを考え、有権者に尽くしているのだという姿勢を最前面に押し出しています。

また、恐らく世界でも有数の温暖化ガス(後述)の排出量を示すアメリカは、このパリ協定を結ばなくともアメリカにおいては減少していく公算が強いと考えられています。

これは、最新技術で採掘が進んでいる「シェールガス」により、二酸化炭素を多く排出する石油等が減少していくことと考えられています。

トランプ大統領にとっては、どの道削減できるのだから加入し続ければ良いのですが、やはりそれでは選挙的にインパクトがありません。

民主党政権であったオバマ前大統領の路線を継承しているとみられることが、選挙にとって不利だからですね。

したがって、トランプ大統領のパリ協定脱退の本当の理由は、次期大統領選に勝利したいということのみに焦点が当たっています。

しかし、2019年11月現在で、ウクライナとの協働で政敵である民主党のバイデン氏の子息のスキャンダルを暴こうとしたことに対して、弾劾裁判を掛けられるなど、足元自体が揺らいでいるのが事実です。

以上、ドナルド・トランプ大統領がパリ協定から離脱を正式に表明したホントの理由になります。

しかし、一方では、次に紹介する京都議定書時代からアメリカではあまり乗る気ではなかった姿勢が伺えます。

締結当時はビル・クリントンが大統領でしたが、中国、ロシア、EUが揃って締結の姿勢を示したことから、仕方なしに締結したとの論評も多く見られます。

今回のトランプ大統領の場合、その風潮に乗ったという側面もありそうです。

気候変動に関する枠組み協定である「京都議定書」とは

 さて、ここから地球気候変動に関する国連を中心とした協定である「京都議定書」についてその概略とそれに付随するトピックスをご紹介しましょう。

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「京都議定書」の概略

京都議定書は、そもそもCOP3と呼ばれる「第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議)」が京都の国際会議場で開かれ、そこで結ばれた議定書であるため、「京都」の名称が冠せられました。

よく、京都という名称があるので日本が主導して行った議定書のように勘違いしている方がいますが、あくまでも議定書を結んだ場所がたまたま京都であったことで「京都」の地名が付いただけです。

このCOP3は1997年12月に開催されました。

今から22年も前の話になります。

ただし、議定書は出来上がったものの、批准する国々の国内事情によって難航しました。

そのため、効力発生はこのCOP3開催年より遅れること8年を要し、2005年2月に効力が発生したということになります。

主要な内容は、「先進国等が約束期間において数量化された約束に従って温室効果ガスの排出を抑制しまたは削減すること等を定める」という内容です。

この温室効果ガスについてCOP3で抑制すべき温室効果ガスが、以下の6種類に絞られたことです。

その他にも温室効果ガスは挙げられていますが、当時はこの6種類の効果ガスを抑制することで大きな効果が挙げられるものと考えられました。

つまり、ここで決められた温室効果ガス6種は以下の通りとなります。

(ⅰ) 二酸化炭素 (CO2)

(ⅱ) メタン (CH4)

(ⅲ) 亜酸化窒素 (N2O)

(ⅳ) ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)

(ⅴ) パーフルオロカーボン類 (PFCs)

(ⅵ) 六フッ化硫黄 (SF6)

この6種類の温室効果ガスの内、聞き慣れないのが(ⅳ)(ⅴ)ですが、これは一般的に「フロンガス」のことで、エアコンや冷蔵庫に用いられ、主に冷却ガスとして使われていました。

皆さんも「代替フロン」という言葉をどこかで聞かれたことがあると思いますが、このフロンに替えて温室効果が少ないガスに切り替えるという社会現象が起きました。

(ⅵ)の 「六フッ化硫黄」は、重電関係の絶縁物質として汎用されてきた経緯があります。

これら各種の温室効果ガスについて、京都議定書ではその削減目標を各国ごとに設けました。

6種類をそれぞれに設けるのではなく、(ⅱ)以下のガスに関しては全て(ⅰ)の二酸化炭素換算で総量を抑制しようとしました。

さすが科学の力ですね。

ちゃんと計算式まであり、「貴方の国は、二酸化炭素換算でこれだけ減らしなさい」と規定したわけです。

ちなみに各々の温室効果ガスがどれほどの二酸化炭素量に相当するかを以下に紹介します。

温暖化係数(二酸化炭素を1とした時の効果倍率数で示されます)

(ⅰ) 二酸化炭素 (CO2)                    1

(ⅱ) メタン (CH4)                       25

(ⅲ) 亜酸化窒素 (N2O)                  298

(ⅳ) ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)   92~14,800

(ⅴ) パーフルオロカーボン類 (PFCs)   7,390~17,340

(ⅵ) 六フッ化硫黄 (SF6)                22,800

例えば(ⅵ)の六フッ化硫黄量を「1」減らしただけで、二酸化炭素量として22,800減らしたことになるという計算です。

これらの削減目標は、基準年が決められ、1995年(平成7年)のその国の排出量を基本に置くことになりました。

さらに、その実効期間は、2008年~2012年の5年間の期間という設定になりました。

和暦では平成20年から平成24年ということです。

この期間を「約束の期間」という言葉で示されることになります。

いよいよ詳細な目標数値、目標期間が決まったわけですが、この詳細運用が決まったのが、2001年(平成13年)のCOP7(第7回気候変動枠組条約締約国会議:マラケシュ会議)でした。

京都議定書から、4年の歳月が経過したことになります。

その会議では、全世界的な温室効果ガスの削減目標を少なくとも5%削減すると決定しました。

京都議定書の署名国と締約国について

京都議定書では、数々のルールがあり、署名のみする国々もあれば、ルールに則り履行しますよと言った国々に分かれています。

元来、京都議定書は55か国以上の締結国が無ければダメだということになっていました。

つまり、発効しないことになっていました。

その結果、締約国としては192か国で、署名国は83か国になりました。

締約国の中に署名国が含まれています。

一般的に「京都議定書参加国」と言えばこの締約国192か国を指して言います。

また、更にアメリカ合衆国では合衆国として批准を拒否していますが、アメリカ国内の219の都市で京都議定書に批准しているという状況になっています。

京都議定書に基づく各国の削減目標

さて、いよいよマラケシュ会議(上述)で決まった、全世界での5%削減を実行するために、各国や地域の削減目標が設定されました。

ここでは、削減度合いが高い目標を課せられた主要な国から順に目標値をご紹介しましょう。

・ マイナス8%削減目標の国々

オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、

アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、モナコ、オランダ、ポルトガ

ル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、EU15か国

・ マイナス7%削減目標の国

アメリカ合衆国(後に離脱します)

・ マイナス6%削減目標の国

日本、カナダ(後に離脱します)、ハンガリー、ポーランド

・ マイナス5%削減目標の国

クロアチア

・ ±0%目標の国(1995年の排出量を維持させるか削減させる方向の国)

ニュージーランド、ロシア、ウクライナ

・ プラス1%の排出量目標の国(1995年の排出量より1%増加しても良い国)

ノルウェー

・ プラス8%の排出量目標の国(1995年の排出量より8%増加しても良い国)

オーストラリア

・ プラス10%の排出量目標の国(1995年の排出量より10%増加しても良い国)

アイスランド

これ以外にも目標設定された国々はありますが、主要な国々は以上のようになりました。

ここで3点疑問が湧きます。

第一点目は、EU15か国の場合どうなるのか?という問題です。

この問題はEU加盟国全体としての削減目標があり、その目標値をEU域内でEUにより分配されるという仕組みになっています。

第二点目は、削減目標が±0%やプラスになっている国とはどういう国なのかという疑問です。

これは基準となる1995年段階で、既に温室効果ガス抑制が果たされており、これ以上は各国とのバランス上問題があるとして、これ以上の温室効果ガス排出量の抑制をしなくともよい国になります。

見ていただければわかる通り、北欧の国々が地球環境問題に対して前向きな国が多く、先の国連総会で演説を行ったグレタ・トゥーンベリさんもノルウェーの方でした。

第三に温室効果ガス排出量で1位、2位を争う中国が見当たりませんが、これはどういうことでしょう。

答えは、単に目標数値を与えられていなかったということです。

この問題が後に離脱するアメリカやオーストラリアの離脱理由にもなっています。

京都議定書での目標を遵守するための裏技「京都メカニズム」

 単純に温室効果ガス削減目標を掲げ、自国内で理解を求め産業界に圧力をかけただけでは削減できない場合があります。

後述するペナルティもあるので、何とかクリアしたいと思うのは各国政府とも同じ思いです。

そのため、裏技が開発されました。

その名も「京都メカニズム」です。

この京都メカニズムに関して詳細のご紹介を省略しますが、多くの排出量削減を行った国が、僅かしか排出量削減を行えなかった国に、その排出量を融通しあえる取引のことです。

売買契約のようなもので、排出量削減が十分に行えた国は、それなりに努力しているので、経済的に報われても良いという思想で排出量削減が「思いのほか進まなかった国はそれで経済的利益を手にしているのだから、その分総量枠を買っても良いという仕組になります。

また、排出を抑制することばかりを評価するのではなく、二酸化炭素などを吸収する緑化活動なども評価し用という取り組みも含まれています。

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京都議定書不遵守に対するペナルティ

では、この目標値が達成できなかった、あるいは報告すらしなかった国に対して何らかのペナルティが必要だという論議になり、以下の2種類のペナルティが設定されました。

ⅰ) 報告義務を守らなかった場合

温室効果ガス排出量や森林吸収量の変化を推計するための基礎的数値については、各国が集計し報告することとなっています。

しかし、この報告義務に対して問題があった場合には京都メカニズムへの参加資格を喪失することとしました。

報告さえしていれば、参加を継続できるということですね。

ⅱ) 排出枠が守れなかった場合

その国が、次期の排出量削減目標に対して、今期超過した排出量の130%増を追加することにしました。更に京都メカニズムにおける排出量取引において排出枠を売却できなくなるペナルティを課しています。

(3) 京都議定書の成果

 さて、それでは、それぞれの国々がこの京都議定書に基づき温室効果ガスをどれほど削減できたのかについて主要国を中心に以下にご紹介したいと思います。

削減結果については、2008年から2012年の5年間の温室効果ガス排出量平均値の京都議定書基準年(1995年)からの変化率で示しています。

まず、前述のように京都メカニズムによる補正した値ではなく、純粋にその国がどれだけ削減できたかを示す率をご紹介し、その後この京都メカニズム適応後の成果をご紹介することにします。

① 純粋は排出量削減率について

先にお示ししました目標値も合わせて、削減率の高かった国々をご紹介したいと思います

リトアニア(▲55.6%)、ラトビア(▲56.4%)、エストニア(▲55.3%)、)ルーマニア(▲55.7%)ウクライナ(▲5.67%)、ブルガリア(▲53.0%)、ハンガリー(▲41.8%)スロバキア(▲37.1%)、チェコ(▲30.0%)とバルト三国及び東欧諸国での排出量抑制が如実に示されています。更にロシア(▲32.7%)が大きく削減できたという報告になっています。それでは、主要国の削減値を示します。なお、( )内は目標値です。

EU15か国の削減率▲11.8%(▲8%)、日本の削減率+1.4%(▲6%)、ノルウェーの削減率+7.5%(+1%)、アイスランドの削減率+19.2%(+10%)、等になっています。

② 京都メカニズムを考慮した場合の削減率

では、次に京都メカニズムによる取引や吸収量を勘案した良く成立を示します。

EU15か国の削減率▲12.5%、日本▲8.4% ノルウェー▲12.6% 等になっています。

このように、京都議定書における各国の削減努力がうかがえる国々もありますが、超巨大排出国である中国、アメリカ、インドなどの大国の顔が見えません。

いわゆる署名国であっても調印国ではないというスタンスでしょうか。

一方、先進国での削減も多く含まれることから、代替ガスの開発、温室効果ガスの吸収に関する科学技術、そのほか温暖化抑制のための科学技術の進展などがみられている国も多くなってきました。

日本も京都メカニズムによって恩恵を受け、排出量削減目標をギリギリ達成したことになっています。

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京都議定書からパリ協定に至るまでの道のり

以上のように、第一期の温室効果ガス抑制効果が国によっては認められたことから、次の第二期として京都議定書の内容に従い、実施されることになりました。

しかし、その途上では、数々の懐疑論があり難航を極めていました。

つまり、温度上昇に関しては2100年までに0.15℃改善させたり、海面上昇を2.5cm抑えたりできるのか否かという問題が懐疑派により取り沙汰されていました。

しかし一方では、2012年以降の枠組みについては着々と進み、2012年カタール(ドーハ)で京都議定書第8回締約国会合(CMP8)で以下の協定が結ばれるに至りました。

その結果会議では以下の4項目を主体に決定しました。

・ 京都議定書改正案の第二期として2013年から2020年までの8年間とする

・ 温室効果ガスの排出量を1990年の水準から最低限18%を削減目標とする

・ 新規の温室効果ガスに「三フッ化窒素(NF3)」を加える

・ 期間途中で目標削減率の上乗せ計画を策定できる

この時にも、各国別に削減率が設定されていますが、未だに発効するには至っていません。

これは京都議定書発効には締約国の3/4以上の受託手続きが必要だからです。

つまり締約国が192か国ですから、受託する国はその3/4ですから144か国の受託がなされなければなりません。

少し古いですが、2016年7月現在では、66か国の受託でしかなく、発効ができませんでした。

必要国数の半分にも満たない受託件数です。

このことから、この京都議定書第二期は自然消滅したと言って良いでしょう。

パリ協定とは

 いよいよ、京都議定書の第二期に行き詰まりを見せた状態になったわけですが、その後継協定としてこの「パリ協定」が位置付けられるに至ります。

つまり、2015年(平成27年)にパリで行われたCOP21で採択された内容を京都議定書と同じく締結された場所にちなんで「パリ協定」という名称になりました。

では、このパリ協定を簡単に言うと京都議定書と何が違うの?という問題になります。

ここでは、簡単にその違いをまずご紹介しましょう。

明らかに異なる点は2点あります。

1点目は削減目標を実施する対象国が異なるという点です。

2点目は削減目標の設定手法が異なるという点です。

これら2点の違いで京都議定書とは次元の異なるものとなり、有識者からは画期的な協定であるとの評価を得ています。

つまり、第1点目については、京都議定書参加国は、先進国だけを対象にしていましたが、パリ協定は発展途上国を含む全ての参加国が対象になっています。

また、第2点目に関しては、京都議定書では会議そのものによって抑制目標がトップダウンで各国に割り振られましたが、このパリ協定では、各国が独自に定める抑制量で決定するというボトムアップのアプローチになったことです。

この大きな違いによりこのパリ協定は2016年4月にニューヨークで効力が発生しました。

この協定には、気候変動枠組条約に加盟する全ての196カ国が参加する枠組みとしては史上初になった協定になります。

アメリカのパリ協定離脱

本コラムの冒頭でご紹介しましたように、アメリカはドナルド・トランプにより、2017年6月にパリ協定からの離脱を表明しました。

当時の公表された理由には「中国、ロシア、インドは何も貢献しないのに米国は何十億ドルも払う不公平な協定だ」というのです。

これには、欧州各国を始め、日本等の各国首脳が反発を表明しました。

しかし、やや救いなのが、冒頭にも言及しましたが、アメリカ合衆国全体として離脱表明しましたが、ワシントン州・ニューヨーク州・カリフォルニア州の3州およびマサチューセッツ州・ハワイ州など他の7州もこれに加盟しました。

その他、アメリカ合衆国の500越える自治体と約1700ものの企業も大統領を無視してパリ協定を遵守する決意を公に示しています。

アメリカの良心を見る思いがしますね。

こうした動きに、2018年にはトランプ大統領は選挙戦で不利になる可能性を考え、「正直に言って私としては問題のない協定だ。よって、復帰もあり得る」としてツイッターで表明しました。

しかし、その言を受けての批判を協定離脱派から巻き起こったため、再び2019年11月には「パリ協定」から離脱するための手続きを開始したと発表するに至りました。

このように右顧左眄しているように見えるトランプ大統領、お得意のツイッターでの発言でこのパリ協定離脱を主張した内容を以下にまとめてみました。

① 米国と市民を守る重大な義務を果たすためパリ協定から離脱する

② 協定は他国に利益をもたらし、米国の労働者に不利益を強いるものだ

③ 今日限りで、協定がわが国に課す目標の全ての履行や財政負担をやめる

④ 途上国の温暖化対策支援もやめる。支援により米国の富が持ち出されているからだ

⑤ 他国が米国に協定残留を求めるのは、自国を経済的に優位に立たせるためだ。

⑥ 米国にとって公正な協定に変えた上で再加入するか、新しい枠組みをつくる交渉を始める

⑦ 中国の温室効果ガスの排出増やインドの石炭生産増加は認められており、非常に不公平だ

上記の通り、⑥の段階で一旦再交渉ありかと思わせ選挙民の動向を探ってみたところ、やはり離脱による獲得票の方が多いという結論になり、実務的に離脱に踏み切ったと言わざるを得ません。

パリ協定まとめ

こうして見てきました地球温暖化対策に関する国際協調ですが、アメリカのトランプ大統領の離脱宣言で国際的にザワついています。

日本としては、アメリカを敵に回すわけにはいかないので、面と向かって公式なコメントとして非難していません。

個々の政治家においては、色々な発言や批判を行っている方もおられますが、代表的な有力者としては、麻生太郎財務兼財務大臣ですら、「かつての第一次世界大戦後にウッドロウ・ウィルソン大統領が創設を提唱しながらその肝心の米国が国際連盟に加入しなかった」と過去の事例を引き合いに出し、「その程度の国家だ」と痛烈に批判した程度になっています。

今後を見守っていくしかないのが我々庶民の悲しさだと思います。

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