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ドイツの老後の社会保障の年金制度と健康保険の仕組みとは?

ドイツ

今の社会では当たり前となっている社会保障仕組みですが、初めて導入した国をご存知でしょうか。

最初の社会保障が成立したのはドイツであり、年金制度や医療保険制度(健康保険)などがこれまでに幾度も改正され、現行の制度へと至っています。

今回は、そんなドイツの年金制度、健康保険についてご紹介したいと思います。

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ドイツの高齢者事情

年金、また健康保険といった社会保障制度について説明するうえでは、高齢者の置かれている状況を知っておく必要があります。

総人口に占める老齢人口の割合を高齢化率と言います。

その高齢化率が7%を超えた社会は高齢化社会、14%を超えると高齢社会、そして21%を超えた社会は超高齢化社会と定義されています。

高齢化率が7%から14%に増加するまでの年数は倍加年数と呼ばれ、高齢化の進行速度を評価する1つの指標になっています。

先進国各国の倍加年数は、フランスが115年、スウェーデンが85円、イギリスは46年となっています。

それらの国々と比較すると、ドイツは40年と幾分短い期間になっていることがわかりますが、ドイツよりも倍加年数の短い国もあります。

我が国日本は24年、韓国はそれよりも短い18年です。

欧州の中で見てみると、ドイツは高齢化の進むスピードが早い国といえます。

さて、2014年時点でのドイツの高齢化率は21.5%であり、超高齢化社会へと突入しています。

今後もドイツの高齢化は進むとされています。

EUの統計局が出したデータによれば、2040年においては高齢化率が31.2%に、2080年には32.5%に増加すると見込まれています。

では、ドイツの高齢者の就労状況はどのようになっているのでしょうか。

ドイツの高齢者の就業状況

ドイツの高齢者の就労について見てみましょう。

近年のドイツにおいては、ここ10年あたりで高齢者の就業率が上昇しています。

OECDのデータによれば、ドイツの2017年の55歳から64歳までの労働参加率は72.6%となっています。

OECD諸国の平均値が63%であり、それよりも多い数値となっていることがわかります。

この労働参加率の高さはOECD諸国の中で上位10位に入っています。

対して、65歳以上の労働参加率は7.0%です。

OECD諸国の平均値は14.8%であり、平均値よりも低くなっています。

しかしより詳しく年齢層を分けたデータによれば、65歳以上の高齢者においても労働参加率が上昇しているということが明らかになっています。

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2003年から2013年の10年間の推移に目を移してみます。

2003年の時点で65歳から69歳の労働率は男性が7.2%、女性が4.0%で、2013年になると男性が16.3%、女性が9.4%とともに上昇しているということがわかるかと思います。

過去のドイツにおいては、高齢者の早期退職を推奨していました。

その理由としては、若年層や長期失業者の雇用する機会を広げようという目的があったためです。

しかし前述したように、ドイツでは高齢化が進行しているのが現状です。

それに加えて、先進国の国々と同じように出生率の減少による少子化も起こっています。

後述しますが、少子高齢化によって、社会保障制度の財政にも影響が出るようになってきています。

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ドイツの年金制度

年金制度や健康保険といった社会保障についての取り組みは、いち早くドイツが始めました。

世界で初めて成立した社会保険は、ドイツのものです。

具体的には1883年にビスマルク政権下で成立した「疾病保険法」のことを指します。

年金制度に絞ると、公的年金制度は1889年に創設されたものが始まりとなります。

その後1957年の第一次年金改革、1972年の第二次年金改革。

さらに1989年の「1992年年金改革」もあります。

その後2001年にも「年金改革法」が施行されました。

どのような変革を経て、年金制度が現行のものとなったのか、順を追って説明したいと思います。

ドイツの年金制度は、大きく分けて公的年金、企業年金、個人年金の3つとなります。

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ドイツ公的年金

公的年金には労働者年金保険(ArV)、職員年金保険(AnV)、鉱山従業員年金保険(KnRV)などの制度が存在していました。

2005年に労働者年金保険と職員年金保険が統合されて、一般年金保険と呼ばれる制度が誕生しました。

そのため現行の公的年金は、一般年金保険と鉱山従業員年金保険に大別することができます。

一般年金保険を運営しているのは、連邦ドイツ年金保険組合、州ドイツ年金保険組合、鉱員・鉄道員・海員ドイツ年金保険組合で、鉱山労働者年金保険に関しては鉱員・鉄道員・海員ドイツ年金保険組合となっています。

日本の制度においては、20歳以上の国民は何かしらの年金制度に加入していなければならないという取り決めになっていますが、ドイツにおいては少々事情が異なります。

被用者(会社に勤めている者)は公的年金への加入義務を有しており、ここについては日本と似たような仕組みです。

違っている点は、自営業者に関しては一部の者を除いて基本的に加入義務は免除されており、任意加入となっているという点です。

日本の国民皆年金制度とはこの点において大きく異なっています。

より具体的に説明すると、被用者および自営業者のうち定められた職業の者は強制的に加入することとなっています。

例として、教師、看護、芸術家等が挙げられます。

加入義務が免除されているのは、強制加入の職業グループに属していない自営業者と、官吏恩給制度に該当している公務員や、一年間の平均賃金月額が450ユーロ以下である者などとなっています。

そのうち、それまでに5年以上年金制度に加入していた者や、加入する義務のない16歳以上の者などに関しては、任意に加入することができるようになっています。

公的年金の財源は、主に加入者の納める保険料であり、国庫からの補助もあります。

保険料は2016年の時点で、一般年金保険が18.7%、鉱員年金保険については24.8%であり、この保険料を労働者と雇用者で折半して支払うこととなっています。

国庫からの補助には2種類あります。

基本的な補助と、追加補助です。

基本的な補助の額は、この保険料率の変動と、一人当たりの報酬(税込額)に基づいて決定されています。

追加補助については、保険料の使われない給付の財源へと充てられています。

2000年以降、売上税総額により補助額が決められるようになりました。

ドイツにおける売上税(Umsatzteuer)とは、企業の売り上げに課せられる税金のことを指します。

これは消費税と似たようなものです。

また、2000年には追加補助にさらに補助を上乗せされるようになっています。

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ドイツ企業年金

ドイツの企業年金が設立されたのは19世紀になります。

その後何度か改革が行われて現行のものとなっています。

具体的には、1974年に制定された老齢企業年金改革法、そして2001年の企業年金改善法です。

ドイツで企業年金に加入している者は、1991年の時点で46.1%となっています。

企業年金には直接約定、共済金庫、直接保険、年金金庫、年金基金といった制度が存在しています。

まずは直接約定について説明します。

この制度はドイツの企業年金において最も主要なものとなっています。

将来の支出、損失といったことを想定して積み立てておくお金のことを引当金と呼びますが、これを利用した制度で、引当金制度と呼ばれることもあります。

引当金を利用することによって、企業内部に年金の資産を積み立てる方式です。

ドイツ共済金庫

これは単独の企業、複数の企業、または多くの独立起業が共済金庫を設立して年金を積み立てる制度です。

年金受給者は、この共済金庫に対して法的な請求権を付与されていません。

そのため、年金の資金を事業主に融資することが可能となっています。

直接保険は、企業と生命保険会社間で契約される制度です。

被保険者となるのは従業員です。

年金支給に関しては事業主に義務が存在しているわけではなく、保険会社が負うものとしています。

この制度に関しては運用の規制は厳格なものとなっています。

年金金庫については、大企業が設立するものとなっています。

独立法人として年金金庫を設立して、年金を積み立てる制度です。

この制度を行うことができる企業には基準が設けられています。

1つが1000人以上の加入者がいるということで、2つが資金の潤沢な企業であるというものです。

この制度に関しても、前述した直接保険と同様に、運営には厳しい規制が設けられています。

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ドイツ年金基金

これは2002年に導入された制度となります。

単独、または複数の企業が年金ファンドを設立、年金を積み立てるものとなっています。

前述した年金基金と比べると資産への投資の自由度が高くなっています。

ここからは個人年金制度の説明となります。

まずは「リースター年金」と呼ばれる年金制度についてご紹介します。

後述する、2001年の年金改革法成立によって、給付水準の引き下げが行われました。

そして公的年金を補完するために2002年にリースター年金が作られたのです。

公的年金で被保険者となる義務を有している者が加入の対象者であり、任意の加入者は除外となっています。

他に加入可能な者としては、社会保険料を納付している自営業者、主婦等が挙げられます。

リースター年金の加入対象者の配偶者に関しては条件を満たした者が加入を認められることとなっています。

所得の無い配偶者については、補助金を受給するために一定額の保険料を支払うことが定められています。

加入した者の掛金に応じて補助金の支給か所得控除が行われます。

これは低所得者等のサポートがなされるような仕組みとなっています。

もう少し細かく説明すると、低所得者や、子供の人数の多いほど、得られる補助が大きくなるように定められています。

そして低所得者には補助金を、高所得者については所得控除を、といったことが自動でなされるのです。

リースター年金における国からの助成金については、大きく2種類に分類することができます。

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1つが基本手当、もう1つが児童手当です。

基本手当は、加入者に対して支払われるものです。

1人の場合154ユーロ、夫婦で308ユーロが上限額として定められています。

児童手当は子供のいる世帯が対象のもので、子供1人につき185ユーロと決められています。

リースター年金の引き出し開始年齢はこれまで60歳とされていましたが、2012年に62歳へと変更がされています。

さて、リースター年金には3つのプランが用意されています。

加入者はこの3つのプラン、私的年金保険プラン、銀行貯蓄プラン、投資貯蓄プランの中から任意の商品を選ぶことが可能となっています。

私的年金保険プランは最低保証利回り(利回りは、利息や利益配当の元金に対する割合のことを指します)が決まっており、積み立てと保険を合体させたものです。

銀行貯蓄プランは、確定利回りの預金で、ローリスクローリターンな商品となっています。

投資貯蓄プランについては、元本保証有り、最低利回り保証なしの、投資ファンドへの投資となっています。

続いて、リュールップ年金と呼ばれる制度についても説明したいと思います。

リースター年金の主要な対象者は会社で就労する者であり、自営業者はこのサポートの範囲外となっています。

リュールップ年金はそんな自営業者のサポートを目的に2005年に創設された制度です。

リースター年金においては補助金か所得控除という2つのサポートがありましたが、リュールップ年金に関しては所得控除のみとなっています。

所得控除の上限は、公的年金と合算して2万ユーロ(1人)、夫婦の場合4万ユーロと定められています。

ただし拠出額については、限度額は定められていません。引き出し開始が可能となる年齢はリースター保険と同じです。

ドイツの年金支給額・支給開始年齢

老齢年金の支給額は加入者それぞれの報酬点数などによって決定されます。

具体的には、年金額の月額×被保険者の個人報酬点数×年金種別係数×年金現在価値という算定式が定義されています。

個人報酬点数とは、その人の報酬額の全被保険者の平均報酬に対する比として算出した数値を、全被保険者期間を通じて合わせた点数のことを指します。

年金種別係数は、年金の種類ごとに決められた係数で、老齢年金に関しては1.0と定められています。

年金現在価値は全被保険者の平均報酬額にあたる保険料を1年拠出したと仮定した際に、受給できる老齢年金の月額のことを指しています。

公的年金の支給開始年齢は、2015年の時点で65歳4ヶ月と定められており、この年齢は2029年までに段階を踏んで67歳に引き上げられることが決まっています。

なお、早期支給制度も存在しています。

45年以上保険料を納めた者、長期失業者もしくは高齢のパートタイム勤務の者は63歳からの受給が認められています。

また、女性、重度の障害を持つもの、長期の日雇い鉱山労働者は定められた条件内で60歳からの受給が認められています。

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ドイツの年金の課題と改革

ドイツの年金制度はこれまでに様々な改革が行われてきましたが、近年のものでいうと2001年の年金改革法成立が挙げられます。

この改革法では、大きく分けて5点の改革が行われました。

1つ目が保険料の上昇を抑えるというもので、2020年まで20%以内、2030年で22%までと決定されました。

2つ目が先にも少し述べた、給付水準の引き下げです。給付水準は現役世代の可処分所得の70%と定められていましたが(平均所得の者が45年間加入した場合の給付を想定した場合)、2010年より徐々に引き下げを行って、67%まで引き下げることとなりました。

3つ目は老後の保障制度の補足的なものの導入です。

前述した給付水準の引き下げを補完するための、補足年金となります。

4つめが賃金のスライドです。

これまで、現役世代の可処分所得が上昇するに伴ってスライドすることになっていたものが、補足年金の保険料を引いた額によって、賃金がスライドすることに決まりました。

最後が育児のサポートで、子供1人において3年間は、就労していなくとも報酬を受け取っているものとして年金の給付に反映していましたが、それに加え最年少の子供が10歳となるまで報酬を50%加算した値で評価し、年金給付に反映させるものとしました。

しかし現状のままでは、この2001年の年金改革法だけでは不十分であることがわかっています。

具体的には、2030年には保険料率が24%を超え、さらに給付水準も下がってしまうという二重苦の事態となるおそれが示唆されているのです。

この事態を改善するため、委員会によって2つの提案がなされています。

1つが支給開始年齢の引き上げです。

これは先にも述べましたが、支給開始年齢を、段階を踏んで65歳から、最終的に67歳まで引き上げるという取り決めです。

具体的には、2011年から、1年ごとに1ヶ月引き上げを行うこととなっていて、2035年に引き上げが終了する予定です。

年金の支給開始年齢を引き上げるということは、就労する期間を延ばす施策を同時に行う必要があります。

高齢者が働くことのできる環境作りが重要となると言えるでしょう。

報告書においては、条件を整備し、サポートする政策を行うことで高齢者の雇用率が上昇するとされており、先に述べたように高齢者の労働参加率は実際に改善されています。

絶対的な数値としてはまだ低い水準ではあるものの、労働参加率が改善されていることはドイツにとって良い知らせであるといえるでしょう。

もう1つの案は、給付上昇を抑制する施策です。

賦課方式において、少子高齢化が進行した場合、現役世代の負担は増加します。

それを解消するための案が、受給者と加入者の比率をファクターとして取り入れ、高齢化が進行した際にはスライドを抑制、現役世代の勤労者の保険料の負担を軽減するというものになります。

こうすると現役世代の人口が減少した場合においても、保険料率を上げずに済みます。

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ドイツの年金制度まとめ

ドイツの年金制度は、世界のどの国よりも早く成立し、これまでに改善が行われてきています。

ドイツも他の先進国同様に、少子高齢化による制度への影響が大きくなってきているため、さらに新たな施策を導入しています。

これらの施策によって、どのような効果がうまれるのか、今後の動向に注目が集まります。

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ドイツの健康保険

ドイツの健康保険のうち、公的なもの、つまり公的医療保険を運営しているのは、疾病金庫と呼ばれる法人です。

1990年代には全国で1000を超える数ありましたが、2016年の1月時点で118金庫にまで減少しています。

その理由としては、医療保険の改革によって財政的に厳しくなり、再編が進行しているためです。

ドイツは、日本と同じように国民皆保険制度を採用していますが、細かい点においては日本と相違点があります。

以下、詳しくその内容について説明していきたいと思います。

公的医療保険の保険者となる資格を有する者は、定められた水準の所得を超えない被用者、自営業者の農林業者などとなっています。

ドイツは先にも述べたように、皆保険となっています。

2007年の「公的医療保険競争強化法」によって、ドイツ国民は、原則として公的医療保険、または民間の医療保険に加入しなければならないという義務を有することとなりました。

この義務のことを、一般加入義務と呼びます。

2014年時点での加入者数は5300万6千人であり、支払総額は2055億ユーロとなっています。

給付の種類は、大きく予防・早期発見給付、疾病給付、傷病手当金の3つに大別されます。

原則として給付は、現物給付となっています。

まず1つ目の予防・早期発見給付ですが、これは病気の予防や早期発見のためになされる給付であり、乳幼児の健康診断や、腎臓病や糖尿病等を対象とした健康診断、がんの検診、その他には予防接種や避妊・不妊という医療サービスも含まれています。

2つ目の疾病給付は、多くの診療を含んでいます。

詳しく述べると、医師もしくは歯科医師による外来診療、入院費、訪問看護、医学的なリハビリテーション、人工授精やストレステストといった医療サービスが該当しています。

3つ目の傷病手当金はここまで述べてきた現物給付とは異なる、現金給付です。

これは病気や事故等の理由により就労することができなくなった被保険者について、収入の70%が支給されるという制度です。

同じ病気・事故について3年間で最長78週の間支給がなされます。

ドイツの医療保険で特徴的な制度に、「選択タリフ」と呼ばれるものがあります。

これは、後述する公的医療保険競争強化法にて導入された仕組みです。

疾病金庫の給付は一律に定められており、給付に違いを持たせることは原則としてできません。

選択タリフは、限定的な範囲となりますが疾病金庫が給付に差を設けることができるようになるシステムなのです。

この制度が導入された目的は、加入者が保障を選択する際の自由度を高め、それによって給付を充実させることが大きなものとなっています。

また、この仕組みによって疾病金庫間での競争が促進されるという点も挙げることができます。

ここからは選択タリフの種類について説明したいと思います。

選択タリフは、提供が必須のものと任意のものとがあります。

必須の選択タリフ、任意の選択タリフはそれぞれ5種類ずつに分けることができます。

そしてそれぞれの疾病金庫は、この内容を任意に取り扱うことが可能となっています。

そしてどの選択タリフを選択するかは、加入者の裁量によるもとなります。

加入者が一度いずれかの選択タリフに契約すると、原則3年間は変更することができなくなります。

医療保険の財源はどのようになっているのでしょうか。

主な財源は、加入者の支払う保険料によって賄われています。

一般保険料率は14.6%であり、労働者と使用者が折半して納めることとなっています。

これに加えて、追加の保険料もあります。

追加保険料率は2015年の平均で0.9%であり、これは被保険者が単独で支払うことになっています。

一般保険料と追加保険料の違いがどうなっているのかについて説明します。

基本的に一般保険料が徴収され、医療基金へと集まった保険料がそれぞれの疾病金庫へと分配されます。

しかし疾病金庫が医療基金からの交付金で賄いきることができない状況が発生することがあります。

そうなった場合に、個々の疾病金庫がそれぞれ徴収するのが追加保険料なのです。

追加保険料は先に述べた通り、被保険者が全額支払うこととなります。

そのため追加保険料が高くなりすぎると負担増に直結することとなります。

それを防ぐために、追加保険料が2%を超える場合については、超過した部分に関して補助を受けられるようになっています。

また、保険料による財源のほか、連邦からの補助金もあります。

しかし2014年は105億ユーロ、財源の構成比率は5.1%となっており、ほとんどを被保険者の納める保険料で賄っているということになります。

ドイツの医療保険の財政状況と改革

さて、ここからはドイツの医療保険の財政状況について説明していきます。

公的医療保険に関しては2000年代はじめごろ、赤字が続いていて厳しい状況となっていました。

しかし、2004年以降、2014年までの10年間で赤字となったのは僅か2年であり、安定して黒字の収支となっています。

財政状況が改善されたのは、この間に様々な改革が行われてきたためです。

そのうちの主要なものをご紹介したいと思います。

それが2009年に制定された公的医療保険財政法です。

これは、2011年に医療保険で多額の赤字が発生することが見込まれたために発足したものとなっています。

また、2011年だけでなく、将来的にも、少子高齢化が進展すること、医療技術の進歩による保険料率の上昇などが危惧されたということも理由の1つとなっています。

それまで、一般保険料は経済・金融危機に対処するために引き下げられていましたが、この改革をもって、引き下げ前と同等の15.5%へと引き上げられたのです。

それまでは連邦政府が保険料率を設定していましたが、法律によって決定されるように変更されました。

先に、保険料収入で賄いきれない場合、追加保険料の徴収によって賄うと述べましたが、より詳細に説明すると、一般保険料率を引き上げず、追加保険料を引き上げることによって対応する、ということになります。

このような保険料の引き上げに加えて、支出の抑制策が実施されたことによって、赤字は解消されていったのです。

また、1994年より、リスク構造調整と呼ばれるシステムも導入されています。

これは、疾病金庫ごとによる構造の違いによって、保険料率の格差が発生しており、それを改善することを目的として作られたものです。

2009年に健康基金と呼ばれる基金が創設されました。

これは、連邦の特別な基金として連邦保険庁が運営しているものとなります。

個々の疾病金庫より徴収された保険料は、一旦ここに納められることとなっています。

そしてその後交付金というかたちで、それぞれの疾病金庫に分配されるようになったのですが、その際「リスク構造調整」が行われて交付金の額が決定するのです。

リスク構造調整は、疾病金庫によって異なる加入者の年齢や罹患率、収入を得る能力(=稼得能力)の減退などの要素を考慮したものです。

従来のリスク構造調整においては、加入者の健康さがどの程度のものか、というリスクの違いは考慮されていませんでした。

その状況下では、保険料率が低いことを売りに出して健康な若年層を集めることで疾病金庫間において優位に立つということが行われたこともありました。それを解消したのが2009年の法改正です。

この改正によって、罹患率によるリスクも考慮されるようになったため、高リスクな被保険者を抱えている疾病金庫においては、その分を増額した交付金が付与されることとなり、格差の是正へとつながったのです。

疾病金庫と追加保険料に関する仕組みについてもご紹介したいと思います。

従来は定額であった追加保険料は、2015年より所得の一定率というかたちで徴収されるようになりました。

この改正と同時に、加入者に対する疾病金庫からの配当金という制度も無くなりました。

また、現行の制度においては、疾病金庫は追加保険料の賦課や変更を行う際に、一定期間前に加入者に対して通知する義務があります。

このとき、加入者は提示された追加保険料を確認したうえで、疾病金庫を脱退することが可能なようになっています。

過度に高い保険料を被保険者に求めた場合は、加入者が減少するというおそれが考えられます。

このような理由によって、疾病金庫の再編はこれからより一層進んでいくということが見込まれています。

ドイツの健康保険まとめ

社会保障を世界に先駆けて行ってきたドイツの医療保険は、一時期財政的に厳しい状況も抱えていたものの、その後の改革によって好転しています。

また、医療保険では保険者間において適切に競争が行われるような土壌が整備されているという特徴も持っています。

先進国各国の抱えている少子高齢化による財政等への影響はもちろん存在しているため、中長期的な制度の展望を考慮していく必要はあるといえるでしょう。

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