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中国の老後の社会保障の年金制度と健康保険の仕組みとは?

中国

日本の近隣国である中国は、非常に速いスピードで成長を遂げています。

その中国においても高齢化という問題が横たわっており、それが年金制度や医療保険(健康保険)といった社会保障の制度という仕組みにも影響を及ぼしています。

今回はそんな中国の年金制度、健康保険の仕組みについてご紹介したいと思います。

中国の年金制度について説明する前に、切っても切り離せない高齢者の事情から説明したいと思います。

2018年の時点で、中国の老年人口(65歳以上の人口)の割合は11.9%に達しました。

老年人口が総人口に占める割合を高齢化率と呼び、7%を超えた社会は高齢化社会と呼ばれます。

中国は高齢化社会の真っただ中にいる状況ということです。

高齢化率が14%に達すると高齢社会、21%を超えると超高齢化社会と呼ばれます。

現時点では高齢社会には到達していないものの、高齢化の速度は非常に速いです。

2025年には高齢社会に、2035年には超高齢社会に到達する見通しであることが示されています。

高齢化率が7%から14%にまで到達する年数を倍加年数と呼びます。

フランスは115年、アメリカが72年、日本は24年でした。

中国は23年と見込まれていて、高齢化の進んでいる日本以上に速いスピードであることがわかります。

そして、高齢化に付随して様々な問題が横たわっています。

その一つに地域による高齢化の違いがあり、2010年時点で高齢化が最も進んでいた上海市では11.5%、青海市では4.6%と開きがあることがわかっています。

また、中国の都市部と農村部での環境の違いもあります。

孤独を感じたり、人間関係が煩わしく思ったり、希死念慮のある高齢者が、都市部と比較して農村部の方が圧倒的に多かったというデータが発表されています。

さらに、中国の高齢者の貧困・格差という問題もあります。

中国では高齢者の貧困問題が顕著です。

2000年の時点において、高齢者の総人口に占める貧困者の割合は17.5%であることが中国老齢科研究センターによって発表されています。

そのうちの多くが中国の内陸部の高齢者であり、沿岸部・大都市圏において貧困高齢者は少ないことも報告されています。

中国老齢科研センターの発表したデータによれば、最低生活保障ラインよりも低い生活を送っている高齢者の割合が、都市部で20%、農村部で27%にも達していることが判明しました。

中国の高齢者のうち、女性に関する問題もあります。

2004年と2005年の調査によれば、都市部男性の貧困者の割合が6.3%に対して、女性が23.4%と高い値になっていることがわかりました。

中国の農村部においては、男性が17.1%であり女性が20.4%であり都市部ほどの開きではありませんがこちらも女性の貧困のほうが深刻であることを示しています。

中国の高齢者を取り巻く貧困は、ひとくくりにできるものではありません。

低収入によって衣食住も危うい絶対的貧困、医療保障を受けられず病気に罹患し陥る貧困、高齢者の差別や虐待による貧困など、様々な問題が絡み合っています。

それらの原因の根となっているのが、社会主義政治です。

社会主義を取っている中国の年金・医療保険制度はやや特殊なものとなっていました。

保険料は積立式でなく賦課方式を取っていました。

これは企業や国を保障するためのものであると捉えることができます。

また、受給条件や給付の基準は、収めた保険料とは関係せずに、会社に勤めている年数や退職(定年)直前の賃金によるものでした。

これは忠誠心や社会に対して寄与しているかどうかということが根底にあったわけです。

また、就職することで年金や医療保障によってサポートされる、確定給付型であることも特徴のひとつでした。

しかしこれらの制度は、市場経済化が進行していくにつれて徐々に成立しなくなっていきます。

それにより保険料の納付の方式の改革が行われ、現行のものへと変化しました。

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現行のシステムについての詳細は後述します。

2000年頃までの改革によって、国家の責任を減らし、それに対するように個人の責任が増しています。

それが推し進められることによって、不公平感や非統一性が浮き彫りになってきました。

またその他にも、医療費が高騰する、そして前述したような高齢者の貧困等の問題も発生してきました。

このように変容してきた社会保障制度ですが、それでは具体的には現行制度がどのようなものであり、また課題や問題点といったことについても説明していきたいと思います。

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中国の年金制度

まずは中国の年金制度からご紹介していきます。

中国の公的年金は、大きく二つに分けられます。

一つが、「都市職工年金」、もう一つが「都市農村住民基本養老保険」と呼ばれる制度です。

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中国の都市職工年金

中国都市職工年金は、被用者(会社に雇われている者)が加入する中国都市職工基本養老保険と、公務員の加入する公務員養老保険との二つへとさらに分類することができます。

中国の都市職工基本養老保険は、1951年に作られ、今運用されている制度の形になったのは1997年になります。

中国の都市職工基本養老保険は、「基本年金」と「個人勘定」という二つの要素で構成されています。

中国の基本年金は、企業が拠出し賦課方式となっており、個人勘定は個人が拠出し積立方式となっています。

中国の保険料は賃金に比例し、事業主は賃金の20%を、被用者は賃金の8%を納めることと定められています。

ただし、この率は地域によって異なる場合があります。

支給開始年齢は、定年退職の年齢と定められています。

男性は60歳、女性は一般職が50歳で、専門職ですと55歳となっています。

2015年の支給平均月額は、北京市で3573元、上海市で3500元となっています。

給付においては、物価上昇による影響等も加味され一定のレベルを保てるような仕組みになっています。

それぞれの地域において、加入期間の長さや年齢等の要素を踏まえ、加算がなされています。

給付の条件として、15年以上保険料を納める必要があります。

中国の保険料を納めている期間が15年未満の場合は、納める期間が15年になるまで払い続ける必要があります。

加入者数は2014年時点で3億4100万人、受給者が8593万人となっています。

中国の公務員養老保険は、1955年に作られ、2015年に現行の形となりました。

構造としては都市職工基本年金と同様に基本年金と個人勘定の二つで構成されていますが、公務員養老保険においては、個人勘定の部分に職域加算分を含んでいます。

これは、制度が現行の形になる前と受給の程度を合わせる方針によるものです。

支給開始年齢は男女とも、都市職工年金と同じになっています。

保険料に関しても、賃金に比例するようになっていますが個人勘定の職域加算分もあるため料率は若干異なります。

事業主は賃金総額の28%(基本年金分20%に、個人勘定職域加算分の8%を加えた値)を、被用者は賃金総額の12%(基本年金分8%に、個人勘定の4%を加えた値)を納めることと定められています。

給付については、基本年金と個人勘定は都市職工基本養老保険と同じ仕組みになっています。

公務員養老保険の側だけに存在している個人勘定の職域年金部分については、積み立てた保険料が社会保険管理機構に集められ、職域年金基金となります。

この基金を別会社に運用してもらい、運用により発生した収益が個人口座へと繰り入れられ、最終的に給付されることとなっています。

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中国の都市・農村住民年金

中国の旧制度では、都市に戸籍があり働いていない者と、農村の住民とで加入する保険が異なっていました。

具体的には、前者が都市住民社会養老保険、後者が新型農村社会養老保険という制度が運用されていましたが、2014年から「都市・農村住民基本養老保険」という制度に一本化されました。

加入は強制ではなく、任意加入になっています。

この制度の構造としては、「基礎年金」にあたる部分と「個人勘定」にあたる部分の2つの要素で構成されています。

都市職工年金においては、保険料は賃金に比例する方式となっていましたが、都市・農村住民年金に関しては選択方式となっています。

各々の経済状況に合った保険料を選び納めます。

支給開始年齢は、男女ともに60歳と定められています。

受給資格を得るためには、都市職工年金と同じく15年間継続して保険料を納める必要があります。

都市住民養老保険または新型農村社会養老保険制度が始まった時に60歳以上のものに関しては、納付がなくても基礎年金にあたる部分を受給することができます。

財源は積立金の部分が保険料によって、基礎年金の部分が政府の補助金によって賄われています。

補助金については、中西部とその他で政府負担の割合が異なっていて、中西部では中央政府が全ての金額を補助することに、それ以外の地区においては中央政府と地方政府が折半することとなっています。

中国の基金の残高は、2016年で約9兆3000億円です。

2016年の時点で、加入者は5億847万人、受給者は1億5270万人となっています。

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中国の年金の財政

中国の年金において、財政は地域ごとに運営されています。

そのため、全体の評価も必要ですが、地域ごとの評価も重要です。

2015年における都市職工年金は、制度全体においては黒字でしたが、地域ごとに着目してみると、全体の20%程度が赤字であることがわかっています。

それでは、それぞれの年金制度の財政状況について見ていきましょう。

中国の公務員年金を除外した都市職工年金、公務員年金、都市・農村住民年金の3つに関しての評価になります。

中国の公務員年金を除外した都市職工年金の収入は2兆6613億元で、そのうち保険料が79.3%と8割近くを占めています。

中国の公務員年金は2728億元の収入のうち70.5%が保険料収入です。

それに対して都市・農村住民年金は収入2855億元のうち、保険料によって賄われているのは24.5%しかありません。

70.7%が国庫・地方政府の補助金によって賄われていて、都市職工年金とは異なっている現状がわかると思います。

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次に、制度全体から一歩進んで地域にも目を向けて評価してみます。

前述したように、2015年において全体の20%の地域が赤字となっています(全部で31地域のうちの6地域)。

財政が黒字であっても、全く問題がないとは言い切れません。

中国の地方政府からの財政の繰り越しがあって黒字になっている地域も存在するからです。

その繰り越しがない状態で黒字収支となったのは7地域のみです。

中国の広東省では「基本年金」の基金残高が5000億元以上積み上がっていて、他の地域と比べて突出しています。

これは、広東省の人口は非常に流動的であって、他の地域に転職する際に保険料を持ち出せないためです

これによって、受給者一人を支える現役世代の人数(年金扶養率)は全国平均の3倍以上であり(全国平均が2.87人、広東省が9.75人)、一人当たりの負担が少なくなっています。

対して赤字となった地域に目を向けてみましょう。

前述の通り赤字になったのは6地域です。

年金扶養率はその全ての地域において全国平均を下回っています。

中国の黒龍江省については1.37人となっており、現役世代に負担が重くのしかかっている現状を窺うことができます。

中国の年金の加入率の低さ

中国の社会保障制度においては、加入者が多いほど所得の再分配等による格差の解消度合いは大きくなります。

では、中国の現状はどのようになっているのでしょうか。

中国の年金加入者数は増加していますが、その率は決して大きくはありません。2008年の時点で加入率は54.9%となっています。

それでは、どのような層が加入していないのかと言うと、まず都市部で働く農村出身の人々が挙げられます。

働いているのは中国の都市部ですが、流入先の都市部において戸籍を取得することは一般的にできません。

2003年の取り決めによって、中国の農村出身の人々が都市部で働く際の制限を無くし、就業地または居住地にて戸籍の登録を行うことを許可しました。

そしてこれらの流動人口を対象とした社会保障が現れ始めています。

しかしその制度において、保険料に対する保障レベルは都市部の人々が享受している保障のレベルと比較して大きく低いものとなっているのが現状です。

そのため、これらの制度が導入されたからと言って、加入する強い意志が生まれるわけではないということです。

加入にあたっては、年金の受給資格を得るために15年間の間継続して保険料を支払い続けなければいけない、賃金の低さから社会保険に加入することが厳しい、事業主側もコストのことを考慮し意欲的な取り組みが行われていないと、障害が数多く残っています。

中国の都市化の際に土地を失った農民も非加入者が多く問題となっています。

2010年の段階でその数は約3000万人にも及ぶとされています。

戸籍上、農業から非農業へと変化し政府も補償を行いましたが年金給付のレベルは都市部で働くものよりも低くなっています。

これらの問題が起こる原因の一つとして、企業側の問題も存在しています。

前述したように、年金制度を運営していく上で収支が赤字になっている地域は少なくありません。

加入者の受け入れを強化するということは、地方政府にとって財政的により負荷がかかる状態であるということです。

また、中国の都市部の高齢化は農村部と比較して非常に速いです。

前述した中国の農村出身の都市部勤労者は主に若い世代が多く、その世代を排するようになってしまっている現行の制度・環境においては、加入者が高齢化することは避けられません。

これは年金扶養率の増加に繋がっています。

ここまで述べたように、様々な要因が重なって加入率が伸びないという現状になっていますが、低加入率は年金扶養率の増加に繋がるなど制度自体に影響を及ぼすこととなります。

加入率を増加させるための取り組みが必須であり、それにより国民の生活水準も一定のレベルにまで引き上げることが求められています。

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中国の年金の持続可能性

中国の都市職工年金と、都市・農村住民年金の財政は、2016年時点で黒字ですが先に述べたように地方政府からの繰り越しで赤字にならずに運営できている地域も少なくありません。

また、現在は黒字であっても、高齢化が非常に速いスピードで進んでいる現状を鑑みるに、年金制度が今後も成立するような取り組みが必要になると言えます。

中国の現行の制度をそのまま継続した場合、都市職工基本養老保険は2030年の時点において保険料による収入が4.5兆元、給付額が18.7兆元と大幅な赤字財政になる見通しがなされています。

この支出を減らすためには、支給額を減らすことや、定年を延長し支給開始年齢を引き上げる等の取り組みが必要であると考えられます。

国民の注視する制度でもあるため、世論を配慮し落としどころを見つけなければならないでしょう。

中国の年金制度まとめ

中国の年金制度は、都市部の制度と農村部の制度に大別されます。

中国の基礎年金にあたる部分が賦課方式であるか、選択制であるかというのが大きな違いになります。

非常に速いペースで進んでいる高齢化、そしてそれが年金財政の持続可能性にも影を落としています。

受給者、地域による格差、そして年金を今後も安定して運用できるシステムの構築とこれから解決すべき課題は多く存在し、多角的な取り組みが求められていると言えるでしょう。

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中国の健康保険制度

中国の健康保険制度は、2020年までに皆保険を実現しようとしています。

2014年の時点で加入者は95%以上を達成しています。

日本においては全ての国民が何らかの保険に加入していなければいけません(=強制加入)。

しかし、中国の制度は任意と強制がどちらも存在しています。

公的な医療保険の制度は大きく2つに分けることができます。

都市部の被用者が加入する「都市職工基本医療保険」と都市部で働いていない者・農村部の人々の加入する「都市・農村住民基本医療保険」です。

中国の「都市職工基本医療保険」

中国の対象者は都市部で働く被用者、公務員、自営業者等になります。

該当する人物は強制加入となっています。

この制度は2階建ての構造となっていて、1階部分が基本医療の給付になります。

2階部分に関してはそれ以上の高額な医療サービスの給付が行われます。

日本と異なる点としては、定められた額までは患者が自己負担する必要があります。

自己負担額の上限を超えると、1階部分の給付の範囲に入り、それを超えると2階部分に、そして2階部分を超えると全額自己負担の領域になります。

保険料は、1階部分は全国で共通した規定がありますが、2階部分に関しては地域によって異なる料率が定められています。

1階部分に関しては、事業主が賃金総額の8%を、被用者が前年平均賃金の2%を納めることとなっています。

被用者側の保険料負担の算出元となる平均賃金には上限と下限が設定されています。

上限が前年平均賃金の300%で、下限は60%です。

2016年時点でこの制度への加入率(都市の就労者人口に占める現役加入者の割合)は52.4%です。

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給付に関する説明

入院・通院等の医療サービスを基本的に対象としています。

病院の規模、ランク等の要素を加味してそれぞれの地域での給付は設定されています。

なお、1階部分と2階部分とは別に医療保険用の個人口座も存在しており、その口座から通院治療費や薬の代金等を支払うことも可能となっています。

対象者は保険に加入している本人のみが対象であり、扶養家族は対象ではありません。

そのため扶養家族も個別に保険に加入する必要があります。

また、制度はそれぞれの市ごとに運営されていて、管轄の市以外では保険が適用されず全額自己負担となります。

日本ではどの医療機関でおいても同様の医療サービスを受けることができますが、中国では基本的に医療機関を指定し受診することとなっており、大きく違っていることがわかるかと思います。

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中国の「都市・農村住民基本医療保険」

こちらの制度は、中国の都市に戸籍を置く非就労者、学生、農村の住民等が加入対象者となっています。

こちらの制度も中国の都市職工基本医療保険と同様に、2階建ての構成となっています。

1階部分は各地域に、2階部分は地方政府と民間保険会社によって運営されています。

構造としては、まず一定額までは患者が全額自己負担と、都市職工基本医療保険と同様になっています。

そして一定額を超えると1階部分の給付の範囲に入ります。

中国の北京市においては、300元から1300元が全額自己負担の範囲になります。

それ以上は1階部分の給付になり、これの上限は20万元と定められています。

また、中国の高額医療を利用する場合に関しては2階部分の給付が用いられます。

一定額までは自己負担を行い、残りは官民協働の運営する大病医療保険より給付がなされます。

そのうち、さらに自己負担額が設定されています。

この2階部分の自己負担額については、限度額が設定されていない場合が多くあります。

この制度は都市職工基本医療保険と比較して、自己負担額は高く、また、給付の限度額は低く設定されています。

中国の保険料については、地方政府ごとに設けられた基準をもとに決定されています。

年に一度、一年間分の保険料をまとめて納付し、市や区などの財政から補填がなされます。

これらの収入は中国の都市農村住民基本医療保険の基金に積み立てられます。

この基金の一部が大病医療保険に使用されます。

その保険料に関しては、地方政府・民間保険会社がそれぞれ定めています。

保険料は前述したように年齢のような要素によって変わります。

現役世代のほうが高く、高齢者や学生などは低くせってされています。

中国の都市部の医療保険においては所得をもとに保険料を定めていますが、都市・農村住民基本医療保険においては年齢をもとに一律で設定されています。

中国の都市部の制度においては所得格差を改善するようなシステムとなっていますが、それと同じ働きをするようなシステムにはなっていないということです。

給付に関しては、入院、通院のような、都市職工基本医療保険と同じ医療サービスを対象としています。

相違点としては、医療向けの個人口座が存在しないということが挙げられます。

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中国の健康保険の財政

それぞれの中国の保険制度の財政の状況を確認してみます。

まずは中国の都市職工基本医療保険ですが、財源は加入者の保険料、中央・地方政府の負担金によります。

2016年においては収入のうち95.9%が保険料によるものであることがわかっています。

収支を確認すると黒字となっていますが、地域によっては財政が赤字になっているところも存在し、補填が行われています。

対して都市・農村住民基本医療保険においては、保険料の収入の率は大幅に低く、その大部分、約80%を財政の補填によって賄っています。

この補填が存在しなければ、大きな赤字となってしまうのが現状です。

中国の保険料に関しては制度間で比較すると比較的少額であり、給付される医療保障に関しても都市部の制度よりも限定された内容となっています。

しかし、中国の都市・農村住民基本医療保険の加入者の割合は、公的医療保険の制度のうち約8割をも占めています。

さらに、大病医療保険の財源でもあるというところも着目すべき点になります。

将来的に中央政府、地方政府の双方からの財政の負担が増す可能性があるためです。

中国の都市・農村住民基本医療保険の収入のうち大部分を国からの財政負担によって賄っていることは前述しましたが、その値は2011年から2016年にかけて約2倍に増加しています。

これは都市部の非就労者に向けた制度を導入する地域が増えているためであり、今後ますます増加していくものと考えられます。

中国の健康保険制度の抱える課題

ここまで中国の健康保険について説明してきましたが、様々な課題を抱えています。ここでは、そのうちの3点について注目したいと思います。

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中国の高齢化による財政への負担上昇

先に述べたように、中国では急速に高齢化が進行しており、高齢社会も目前に迫っています。

現役世代の人口の伸びと比較して、高齢者の人口の増加のほうが大きくなっています。

定年退職した人々に関しては、定められた期間保険料を納めている、もしくは足りない場合その分を一括で納めることによって、現役世代と同じ制度で医療の給付を受けることが可能となっています。

この場合保険料の負担は必要ありません。

ポイントとなるのは、現役世代と、退職後の高齢者の医療保険の財源が同じであるという点です。

中国の都市職工基本医療保険の基金のうち過半数以上の給付が定年退職者に向けて充てられています。

日本においては現役世代と後期高齢者用の医療保険とで別々の財源が存在しますが、中国ではこのようになっているのです。

これにより、高齢化が進むことでその財源から高齢者に充てる額が増加し、現役世代及び企業の負担が増加するという問題が生じているのです。

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中国の医療保障の格差の存在

また、医療保障に格差が生じているという問題もあります。

中国の都市職工基本医療保険と都市職工基本医療保険という2つの制度の間にある格差のみでなく、それぞれの制度において地域によって運用の仕方が異なることにより生じる格差もあります。

ただ、その格差を是正しようとする試みは見られます。

従来の公的医療保険制度においては、都市部の就労者が加入する「都市職工基本医療保険」(これに関しては制度の改正はあったものの現行の制度となっています)、都市部の非就労者が加入していた「都市住民基本医療保険」と農村部の住民が加入していた「新型農村合作医療保険」という3つの制度が存在していました。

2016年に、後者2つの制度を統合したものとして都市・農村住民基本医療保険が誕生したのです。

その他、制度の統合を行い、格差を解消しようとする地域も出てきています。

格差問題は存在していますが、改善に向けた取り組みは数多く行われてきているのです。

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中国の医療費の高騰

中国では2009年に深化医薬衛生体制の改革が行われました。

これにより中国の医療制度の改革、公的な医療サービスの格差是正を推し進めてきましたが、それにより生じた問題が医療費の高騰です。

医療サービス、医療技術の進化が急激であったためこの問題が現れたのです。

国民の医療費の負担は今後も増加するものと見られ、対策を取る必要があります。

中国のGDPに占める医療費は、現状ではそれほど高くありませんが、GDPの成長率と国民の医療費の増加率を比較すると、後者のほうが大きくなっているのが現状となっています。

ですから医療費を抑制することが必要となりますが、医療が進歩・高度化したことにより医療費が高くなるのは避けられない面もあります。

その点をいかに解消するかが重要となるでしょう。

中国の健康保険制度まとめ

中国の健康保険制度は、将来的に皆保険を目指した取り組みが行われています。

中国の制度の特徴として任意加入と強制加入であるものが併存していることが挙げられます。

制度間、地域間で医療保障の格差が存在しており、それに向けた対応は現在進行形で進んでいます。

中国の格差以外にも、高齢化に伴う財政の逼迫した状況、医療費の高騰など様々な課題は残っています。

今後も中国の高齢化は非常に速い速度で進んでいくと見られており、それらの課題の解決に向けた迅速な取り組み、改革が求められると言えるでしょう。

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