一帯一路とは?参加国や中国や日本のメリットデメリット

中国

中国の「一帯一路(いったいいちろ)構想」とは?

中国による「一帯一路構想」というものが禁煙盛んに国際政治の表舞台に登場しています。

ここでは、全世界を巻き込んだこの構想の参加国や中国や日本のメリットデメリット、果たしてどのようなものなのかを分かりやすく紹介したいと思います。

国際情勢に不案内な人のためにも、超初心者でも分かるようにご紹介したいと思います。

したがって、国際政治に詳しい方々には少々物足りない内容かもしれません。

このコラムでは、一見難しそうなテーマでも、簡単に理解してもらえることを第一の目的としていますので、予めその点をご理解の上読み進んでいただければと思います。

そこで、ここでは、下に示します項目に分けてご紹介しますので、興味のあるところから読み進めて頂いても分かるように構成しています。

また、出来る限り公平公正な立場を心掛けてご紹介しますので、一般に言われるチャイナバッシングを期待されている方には、その要素としては物足りないかもしれませんので、その点も含めてお読みください。

(1)「一帯一路構想」の概要

①「具体的な一帯とは?」

②「具体的な一路とは?」

(2)「一帯一路構想」を支持する国と組織

(3)「一帯一路構想」を支える金融システム

(4)「一帯一路構想」の時系列での進捗

(5)「一帯一路構想」に対する非難の高まり

(6)「一帯一路構想」の国別の影響

(7)「一帯一路構想」における日本の立ち位置

(8)「一帯一路構想」のまとめ

(1)「一帯一路構想」とは?その概要

日本人であれば、この「一帯一路」という文字を見ただけで、ある程度は理解できると思います。

一本の帯、一本の道」という含意があります。

では、この「一本の帯(=一帯)」とは何を示すのかと言えば、中国西部から中央アジアを経て東ヨーロッパに繋がるいわゆる「シルクロード経済ベルト」の事をさし示しています。

また、もう一つの「一本の道(=一路)」とは、中国東方の沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿海地域、アフリカ東岸までを結ぶ海洋地域を示します。

すなわち、中国を起点として陸路、海路2通りの経済圏ルートを示す言葉になります。

では、このような2ルートに沿って何を行うのかということが重要になってきますが、以下の3つの項目が主要な目的となっています。

・ 各国におけるインフラ整備

・ 各国間の貿易振興

・ 各国間の金融取引の活発化

以上の3つの目的をもって、中国が中心となり、各国へアプローチして行く構想がこの「一帯一路構想」になります。

近現代では、イデオロギーの相違(民主主義、社会主義、共産主義等の相違)により、永らく中国とヨーロッパとは異なった価値観、歴史感を持って現在に至っています。

しかし、地政学的には「ユーラシア大陸」として一つの「地続き」である事には変わりがありません。

また、海も世界に等しく面していることからも一路とされています。

かつて歴史上その名を馳せた「モンゴル帝国」が遙か西方のトルコ地方である西アジアのアナトリア半島迄を領有したことと重なるような印象を強く受けます。

また、中国東岸より海岸沿いを一筆書きのように航路を開くことが出来ることも「一路」構想として現代ならではの構想として認識されます。

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① 具体的な「一帯」とは?

それでは、具体的に「一帯」とは、何を指し示すのかということを考えます。

基本的な「一帯」の構成は、鉄道路線を基線として描かれています。

その一つは「ユーラシア・ランド・ブリッジ(Eurasian Land Bridge)」と呼ばれる路線で、もう一つは「新ユーラシア・ランド・ブリッジ(New Eurasian Land Bridge)」と呼ばれる路線になっています。

前者は、大陸内部で厳冬期に入ると雪や凍結で危険なため、後者の路線を使う場合が多いと言うことです。

この路線は欧米を含めた日本の企業なども海外輸出路線として活用しています。

しかし、一方では超長距離な路線である上、整備状況、途中停車都市等に多くの問題を抱えたルートである事は確かになって来ています。

この路線について日本人の私たちにとっては、「シベリア鉄道」と言えば理解が進むかもしれません。

② 具体的な「一路」とは?

次の「一路」については、まず中国沿海側を南方に海岸沿いを進み、南シナ海からインド洋を横断し地中海を経てヨーロッパにまで到達するルートが、一般的に関係国も非常に多く存在し国際社会でよく取り沙汰されます海路になります。

途中に紅海を経てスエズ運河等を経由することから、アフリカ諸国にも影響する航路になっています。

世界地図で示せば相当派手で目立つ航路線が引くことができます。

つまり、インパクトが強く私たちの目に飛び込んできます。

しかし、もう一つ「一路」を担っている航路が、北極海航路があります。

「メルカトル図法(正距方位図法)で書かれた世界地図では最北端(地図の一番上側)を中国、ロシア、アメリカ(カナダ)含めた航路が設定されています。

つまり、北極を中心に考えた場合に想定されている航路と言うことになります。

この航路の主要な港は、ロシアのムルマンスクに埠頭を開発し、ヨーロッパ – ロシア – 日本 – 中国を結ぶ航路になります。

この海路は、ロシア大統領のプーチンが提唱したことで有名です。

一帯一路を提唱する中国では、この海路を「氷上のシルクロード」と言っているそうです。

ここで、重要なのが、中国として想定しているこの氷上のシルクロード、日本を巻き込んだ構想になっており、北海道の釧路港をアジアの玄関口として捉え、北のシンガポール港といった位置づけにしようとするものです。

そういう意味では日本の北海道振興という意味では有意義なことではないかと考えられる方も多くいます。

(2)「一帯一路構想」を支持する国や組織

上でご紹介しましたように、この構想は全世界を跨ぐ雄大な経済圏構想のため、これに対しては関係諸国のみならず関係する経済協力団体などの強い支持が必要になります。

そのため、中国側としても活発な外交交渉を実施しており、2019年現在100を超える国々の支持を得ていると言うことです。

この支持は、各々の国が自らインフラ整備を行なったり、土地開発を行うと言うものではなく、中国を主体とした資金援助の下で実施して行くと言うスタイルになっているようです。

そのため、種々の問題も出ています。

詳細には『(4)「一帯一路構想」の国別の影響』でご紹介します。

さらに下にその支持を取り付けている各種の国際組織・団体を列挙します。

・国際連合安全保障理事会(UNSC:国連総会参加国の中から5か国の常任理事国及び非常任理事国10か国)

・国際連合総会(UNGA:参加国及び地域193カ所)

・東南アジア諸国連合(ASEAN:加盟10か国)

・アラブ連盟(LAS:加盟21か国と1機構)

・アフリカ連合(AU:55か国)

・欧州連合(EU:加盟28か国)

・ユーラシア経済連合(EEU:加盟国旧ソ連邦の国々で6か国)

・アジア協力対話(ACD:ASEAN各国を含む全30か国)

・ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC:加盟国33か国)

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・上海協力機構(SCO:正式加盟国8か国、オブザーバー:4か国、パートナー:6か国、客員参加:3組織)

以上の国際組織の支持を得ている「一帯一路」構想になります。

この支持表明の組織を一目見てほぼ全世界の国々の支持を得ていると言うのが理解できます。

しかし、よく見ると我国日本やアメリカ等が大きく表に出てくる組織が無いように見えます。

国連総会や国連安全保障会議等では重要なポジションにありますが、全面的に支持するというようなものではないようです。

つまり、各組織は民主主義の原則で参加国の過半数の賛成で加盟を表明できるためでもあります。

ともあれ、全世界のほとんどの国々がこの「一帯一路構想」には前向きに取り組んでいると言うことはできるでしょう。

(3)「一帯一路構想」を支える金融システム

さて、これら国際的な巨大プロジェクトを支えるためには、巨大な金融支援が必要とされます。

そこで、中国では、国際開発金融機関を自前で作ることを考え、2015年発足させています。

翌年の2016年に開業にこぎつけ、その名称を「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」と称し、この銀行を中心に世界的な金融システムを構築しています。

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この国際的な開発銀行は創業当時では57か国がメンバーでしたが、2019年4月現在では97の国や地域が参加しています。

しかし、一方の超大国としてのアメリカや日本は参加を見送っています。

これには、一般的に西側諸国が参加する「アジア開発銀行(ADB)」が参加国48か国で構成されており、アメリカ、日本が主導的な役割を果たしているため利益相反や競合関係が生まれる可能性がある事にも起因しています。

この構想には、この他「中国・ユーラシア経済協力基金」「シルクロード基金」等を創設し国際金融システムとして、一帯一路構想を実現すべく活動していると言うことです。

このことは、一帯一路構想の域内におけるインフラ投資を活発化させ、これら金融組織を活用することで、「人民元」の「国際準備通貨」化を狙い、中国の相対的地位を向上させる意味もあります。

この「国際準備通貨」というのは、現在の所USドル、つまりアメリカの通貨が国際通貨として利用されていることを意味し、国際的な基準通貨として、中国の通貨である「元」を位置付けようとしています。

他にはユーロや円等も基軸通貨の一翼を担っていますが、中国の元は、未だ基軸通貨になりえていないことに由来しています。

(4)「一帯一路構想」の時系列での進捗

それでは、この一帯一路構想はどういう経緯で構築され、その後どのような経過を辿って来たのかについて、まずは時系列でご紹介したいと思います。

この構想の発端は、今から約7年前の2013年9月において、当時も中国共産党総書記であった習近平氏が、カザフスタンのナザルバエフ大学で記念講演を行った際に発表した内容に端を発します。

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さらには、翌月の2013年10月には、インドネシアにおける国会での記念講演演説で「AIIB(アジア開発銀行)」創設を提唱したことと合わせて公表されました。

この内容に関しては、机上の空論的な構想であり、理想論だとする傾向が当時は色濃かった様子があり、大々的に国際的には報じられなかった歴史があります。

しかし、その後着々と実績を積み重ねていくことになります。

以下には一帯一路構想に関する主要な経過を年月と共にご紹介しましょう。

2015年 5月 習近平総書記とロシアのプーチン大統領により、「一帯一路構想」と「ユーラシア経済連合」を連結させるとの共同声明が発表されました。

一帯一路構想が本格的に水面上で始動しはじめたことになりました。

2015年11月 ロシアのプーチン大統領により、アメリカが主導する「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」を批判する論文を公表することになりました。

内容的には、「一帯一路構想」における「シルクロード経済ベルト」とロシアの提唱する「ユーラシア経済連合」の結合がアジア太平洋地区の繁栄をもたらすものだという内容でした。

2016年5月 ロシアのプーチン大統領による「大ユーラシア・パートナーシップ」構想の第一段階として、「一帯一路構想」にある「シルクロード経済ベルト」と「ユーラシア経済連合」の統合を発表しました。

これは前年に続くより具体的な提案として、中国・パキスタン・インド・イランなど「上海協力機構」の加盟国が参加した「サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム」で発表されました。

さらに、同月には、プーチン大統領が訪中し、中ロ共同声明文にも盛り込まれたことからこの国際構想に関して両国による現実的な行動が始まりました。

同時期に中国、ロシアに加えて、モンゴルとも首脳会談がなされ、モンゴルの提唱する「草原の道構想」と連結して、「中国・モンゴル・ロシア経済回廊建設計画綱要」が調印されました。

このことで、モンゴルも一帯一路構想に参加したことになりました。

結果的に一帯一路の陸路部分の骨格が出来上がったことになりました。

2016年6月 「上海協力機構」の会合で一帯一路への支持が表明されました。

これを開催された地名を取り「アスタナ宣言」と呼ばれています。

この地はカザフスタンにあり、カザフスタンの掲げる「光の道構想」とも連結することになりました。

2017年5月 「一帯一路国際協力サミットフォーラム」が開催されました。

この時には、G7の中では唯一イタリアのパオロ・ジェンティローニ首相だけが出席することになり、G7で初めて一帯一路に関する覚書を中国と締結した国になりました。

そのため、イタリアはEU加盟国の中でも一帯一路構想にたいして積極的な支援国として有名になりました。

2017年7月 中露共同声明に関する内容が具体化した形で始動され始めました。

2017年10月 中露経済連携協定が調印されました。

2018年5月 ロシアによる経済連携協定が、中国以外にもイランとの間で「暫定自由貿易協定」が結ばれ、一帯一路構想の域内に存在するイランもこれに参加しました。

2019年4月 習近平主席が主催した「一帯一路構想」の首脳会議が開催されることになりました。

この会議には、日本を含む150カ国以上が参加し、37カ国が首脳級を派遣する大規模なものになりました。

会議期間中には、中国企業が主体になって640億ドル(約7兆円)余りの事業協力に合意したことが大きな話題になりました。

(5)「一帯一路構想」に対する非難の高まり

以上、一帯一路構想が発表された2013年10月から概ね7年を経過した2019年までを時系列にまとめてみました。

しかし、この他にも数々の動きが中国の外交筋にはあり、一概にこれだけとは言うことが出来ません。

特に、関係諸国におけるインフラ整備に関する投融資に関する批判が中国を巻き込んでいる現状があります。

これは、簡単に言うと、港湾施設、鉄道建設などを対象国で行う場合に、以下の負の「ドミノ倒し」が起きていることへの非難になります。

多くの発展途上国、特にアフリカなどでは顕著にその兆候が出始めています。

一帯一路構想を実現に向けた中国主催のAIIBによる投資ドミノ

①「一帯一路構想」に基づき港湾施設、鉄道敷設に同意したとしてもその国に資金が無い場合が多くあります。

② そこで、中国を主体としたAIIB等による融資を可能にします。

③ 建設費などの莫大な費用がGDPの数割に及ぶ場合も出始めています。

④ 融資(中国マネー)により建設されますが、資材、人材の大部分が中国企業が製造した資材であったり、派遣された人材であったりすることから中国に対する依存度が大きくなっています。

⑤ 実勢経済として当該国への貢献がほとんど無く、その国自体が潤う問いことが無いと考えられます。

⑥ 受けた融資の返済ができなくなった(デフォルト)の場合、中国へその施設を租借権譲渡することになっている。

⑦ 実質的な中国の建設・運営・支配の構図が完成することになります。

⑧ 中国によるその地の軍事利用にも供せられる不安が各国に募っています。

⑨ 国際社会から中国が有事の場合に、派遣される港湾都市、内陸都市の「拠点作り」だと非難が生じています。

上にお示しした、それぞれの段階を一帯一路構想に組み込まれた各国が直面する事実であるとされています。

一方では、中国からの支援により自国のインフラ開発が進むと言うジレンマに陥っていると言って良いでしょう。

しかし、この点で非難が2019年初頭より激しくなってきたことで、中国も従来の開発スピードを弱めざるを得ない状況になりつつあります。

一方では、米中の貿易摩擦による貿易戦争などが2019年に激化しており、世界を巻き込んだ経済悪化を招きかねない状況になっています。

(6)「一帯一路構想」の国別の影響

上にお示ししましたように、投資対象国の財政健全化であったり、透明性の確保のためのガバナンスが明らかに不足しています。

そのため、デフォルトによる土地の半永久的租借問題などが起きています。

この事は歴史的に中国が、1900年代初頭に欧米列強によりマカオ、ホンコン等を半永久的な意味を込めて99年間の咀嚼を認めた歴史の仕返し(リベンジ)だという歴史学者もいるほどです。

そこで、現段階で一帯一路構想の該当国の数多くの現状を知ることで、その内容を理解することが進むと思います。

以下に該当国家の現状の問題点をまとめてみましたのでご参考にしてください。

①マレーシア

一帯一路の中でも重要な国家になりますが、中国国営企業から受けた融資金自体が国営ファンドに利用されたと言う可能性が示唆されています。

さらに、そのインフラ整備のためのコスト増の問題から融資対象の事業であった4事業の内、3つの事業が中断されましたと言う現実もあります。

②パキスタン

この国の一帯一路構想におけるポジションは当初、巨大プロジェクトを実施するという象徴的な立場にありました。

総額で620億ドルもの事業が開始されたわけですが、中国からの融資以外にもパキスタン時代の公的資金が投入されなければならないほどに経費が膨らんでしまいました。

そのため、国際通貨基金及び友好国のサウジアラビア等から財政支援を受けるに至りました。

さらに、一帯一路構想を国際的に発表する直前の2013年1月には、中国に対してグワーダル港の操業権を中国に譲渡しています。

これにより中国の海上輸送の重要拠点が出来たことになります。

印パ戦争などで敬遠の中であるインドがこの事に対して過敏に反応したりしました。

③スリランカ

この国に対しては、典型的な一帯一路構想の一端が見て取れる政策が行われました。

つまり、11億2千万ドル規模の借入を行って建設した赤字続きのインフラ設備があります。

このインフラ設備の借入金を帳消しにすると言う条件で、2017年12月にその施設の株式の70%を中国に譲渡、更にこの国南部にある「ハンバントタ港」に99年間の港湾運営権を中国企業に譲渡する事態になりました。

この為、周辺諸国からは中国の海軍の進出による中国軍事拠点化が懸念されることになっています。

④ミャンマー等

東南アジア諸国の中でも、日本名ビルマと言ったミャンマーを初めとして、インドシナ半島にあるラオス等を含めて、その他モルディブ、モンゴル、モンテネグロ、ジプチ等の諸国が巨大な中国マネーの負債を抱えており、その危機が迫っている国として挙げられています。

特にジプチなどは、この構想によって国債発行額が国内総生産(GDP)に占める割合が82%から91%に急騰したとされる報告もあります。

この様に発展途上国にあっては、その成長と実収入に見合わないインフラ整備によって自縄自縛の状態に陥っていると言わざるを得ません。

⑤インド

インドにおいては、この一帯一路構想に懐疑的な姿勢で2017年5月に開催された、「一帯一路国際協力サミットフォーラム」にナレンドラ・モディ首相が参加を拒否しました。

インド外務省からは、この時に「主権と領土保全における核心的な懸念を無視した事業計画を受け入れる国は1つもない」とした発表がなされ、パキスタンとの領土問題が完全に解決していない現代インドにおいて、一帯一路構想に対しては否定的な立場を変えていません。

その後もロシアのプーチン大統領からも一帯一路構想に協力するよう求められましたが、未だその姿勢が変わることもありません。

⑥キルギス

中国の最西部に隣接するキルギスは、旧ソ連邦に属していましたが、今や首都アルマトイを中心に発展してきました。

しかし、この中央アジアの国も中国からの借入金が国内総生産額の78%にまで達し、それまでの68%を大きく上回る結果になってしまいました。

⑦ その他関係国

以上に示した各国の他、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム等の東南アジア諸国、更にはエチオピア、ジンバブエ、カメルーン、ガーナ等のアフリカ諸国も含まれています。

以上、主な関係各国に対する影響を列挙しましたが、この他にも韓国、アフリカの他の諸国等にも多大な悪影響を与えていることに非難が集中しています。

この非難の根源になっている中国の一帯一路構想には、「中国による利益優先主義に基づき、中国の銀行から事業に掛かる費用を融資の形で借入しなければならない」と言う形から入ります。

さらにこの融資条件も2019年現在では、日本による国際プロジェクトによる円借款の金利が0.5%程度であるのに対して、中国からの借入金金利が6%を超えているとの指摘もあります。

この為、中国共産党一党独裁国家にとって、国家と中央銀行との一体性から考え、その内容の不透明さが増していることが上げられます。

また、インフラ整備に係る内容が中国の企業が施行を行うことになっているため、更に中国に借入金を増やす結果になっています。

経済評論家の中には、一帯一路構想自体が関係発展途上国に対する「債務のワナ」という表現までする方もいます。

(6)「一帯一路構想」における日本の立ち位置

アメリカ合衆国との共同歩調を重視する日本政府としては、長らく静観の立場を採ってきました。

しかし、国際社会での一帯一路構想の拡大に伴い日本政府としても静観できなくなったのがここ数年の状況になります。

そこで、日本国政府としての対応を時系列でまとめてみました。

2017年8月 第六回日中与党交流協議会において、政府与党である自由民主党、公明党と中国共産党幹部により共同宣言を発表しました。

その中で「一帯一路への協力を積極的に検討するとする」とした共同提言をまとめられました。

また、また同時期に日本経団連と経済同友会は「AIIBへの参加を前向きに検討すべき」と公表されました。

2017年11月 経団連を中心とした、過去最大規模の財界訪中団が訪中しました。

この中で、経団連として「一帯一路構想」への協力に伴い窓口設置、共同研究体制を提言しました。

さらに、中国における日系企業によって一帯一路連絡協議会を設置されることになりました。

2017年12月 安倍首相により日本の提唱する「自由で開放的なインド太平洋戦略」と「一帯一路構想」の連携を推進する旨の発表がなされました。

2018年1月 安倍首相により具体的にアジアにおけるインフラ整備に関して協力して行く旨の公表がなされました。

2018年5月 安倍首相と中国の李克強首相との会談が実施されました。

この会談で、一帯一路構想に含まれる国々におけるインフラ整備協力を具体化させる官民合同委員会等の官民協議体の設置が決定されました。

2018年6月 5月で合意した内容にインフラシステムの輸出戦略が盛り込まれました。

2018年9月 具体的に官民合同委員会が開催されました。

2018年10月 安倍首相自ら、日本の内閣総理大臣としては7年振りになる公式訪中を実施しました。

この時に開催された「官民フォーラム」で52件もの協力文書が交わされました。

主要内容では第三国へのインフラ共同投資等を行うためのものでした。

この時に中国の習近平総書記からは、「一帯一路を共に建設することは、中日協力の新たなプラットフォーム」だと発言されました。

2019年4月 「第2回一帯一路国際協力サミットフォーラム」が中国北京で開催され、日本を含む150か国を超える代表団が出席しましたが、アメリカにおいては米中貿易摩擦が激化する中のことでもあり、集積されませんでした。

以上のように、わが国日本における一帯一路構想に対する態度が軟化し、協力体制を取ることになってきました。

この事は、日本においても一帯一路構想を看過することが出来ずになってきたことが上げられます。

(7)「一帯一路構想」のまとめ

以上にお示ししました「一帯一路構想」の全容ですが、この内容は客観的な事実のみをご紹介し、論評は避けています。

読者の皆様がどのように感じられるかはお任せします。

しかし、厳然とした歴史的事実として中国の歴史を辿ると、行きつく先には「中華思想」というものに行き当たります。

この思想は「中国」が全世界の中心であり、中国を基軸として世界が回っていると言う思想のことです。

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しかし、近現代史に詳しい先輩諸氏方々も多いと思いますが、二十世紀における中国は日本を含む列強と呼ばれる欧米各国から多くの富を簒奪された歴史があります。

また、中国共産党というイデオロギーの問題もあり、永らく先進国としての位置付けを得ることが出来ませんでした。

その中でも世界の工場と呼ばれるほどに世界経済を左右する迄に生産規模を拡大してきた現在に合って、再び中華思想が頭をもたげ始めたことだけは確かなこととなります。

アジアの最東端に位置するわが国日本も戦後体制から脱却したと言われる中、依然としてアメリカの強い支配を受け続けている歴史も、こうした大きな世界的潮流に流され、どの方向で進むのかについては、今後の日本の為政者に任されることになるでしょう。

特にここで紹介した「一帯一路構想」が日本に与える影響は非常に強く貿易立国等を目指して来た我国にとっても対岸の火事では済まないと思われます。

今後もこの構想の行く末を見守っていきたいと思います。

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