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韓国の老後の社会保障の年金制度と健康保険の仕組みは問題ないのか?

年金と健康保険制度

日本の隣国である韓国ですが、社会保障制度や老後がどうなっているのか気になったことはありませんか?

今回は、韓国の年金制度、医療保険(健康保険)といった制度が韓国ではどのような仕組みになっていて、それらの抱える問題点についてご紹介したいと思います。

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韓国の高齢者の事情

韓国の社会保障制度を説明するにあたって、韓国の高齢者に関する事情を知ることが必要不可欠です。

まずは韓国における高齢化について説明したいと思います。

先進国は国民の高齢化に悩まされていますが、韓国も例外ではありません。

国際連合の定義によれば、総人口のうち65歳以上の人口比率が7%を超えた社会が高齢化社会、14%を超えると高齢社会とされています。

また、21%を超えると超高齢社会と呼ばれます。

高齢化率が7%から14%に達するまでの所得年数は倍加年数と呼ばれます。

フランスは115年、アメリカが72年、イギリスが46年、そして日本は24年となっています。

韓国が高齢化社会に入ったのが2000年のことです。

65歳以上の老年人口が14.2%となったことが昨年2018年8月28日に統計庁によって発表され高齢社会へと突入しました。

つまり倍加年数は日本よりもさらに短い18年となっており、韓国の高齢化は世界に類を見ない速度で進んでいることがわかります。

2011年の統計庁の発表によればこの勢いは止まらず、高齢化率は2026年に20.8%、2050年に38.2%になる見込みとされています。

日本で2017年に発表された将来人口統計によれば、2060年における日本の高齢化率は38.1%であり非常に高齢化の速度が速いということがわかるかと思います。

韓国の高齢者に関するデータ

このように高齢化が速い速度で進んでいる韓国ですが、高齢者はかなり厳しい環境下におかれているのです。

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それを説明するために、まずはジニ係数と呼ばれる指標で国際的に見て韓国がどのような状態にあるかを比較してみたいと思います。

ジニ係数とは、所得分布の均等度合いを示す指標で、0~1の数値を取ります。

0に近いほど所得格差が小さく、1に近いほど所得格差が大きいことを示しています。

0.4を超えると、社会騒乱が発生する可能性が高くなるとされています。

ジニ係数には所得移転前のものと所得移転後の2種類があります。

所得移転前のジニ係数は、前年の所得を対象にして算出したものです。

それに対して所得移転後のものは、税金、社会保障料等を控除し年金や介護等の社会保障の給付を加えた所得を対象にしています。

所得移転前のジニ係数が大きくても、所得移転後のジニ係数が小さくなっていれば所得の再分配が機能しているということがわかります。

それでは、65歳以上の所得移転前のジニ係数を比較しましょう。

データはOECDデータベースのものです。

なお、オーストラリア、ハンガリー、メキシコ、ニュージーランドに関しては2015年のデータが存在しないため、残りの32ヶ国でデータを比較しています。

韓国は0.529で、OECD諸国の平均の0.710よりも小さな値となっています。順位でいうと、32ヶ国中4位です。

では次に、65歳以上の範囲に絞った所得移転後のジニ係数を見てみましょう。

韓国は0.381となっていて、これは、OECD諸国の平均値0.293よりも高い値となっています。

そして注目すべきはその順位で、32ヶ国中30位とほぼ最下位に位置しています。

なお、32位がチリで、31位はアメリカとなっています。

これらのデータを見ると、韓国では所得移転前と所得移転後のジニ係数の数値はそれほど大きく変化していません。

他の国々のデータを見ると、所得移転前のジニ係数は大きいですが所得移転後のジニ係数はかなり小さくなっていることが窺えます。

これらのデータから、韓国においては所得の移転度合いが非常に低く、機能していないといっても過言ではないレベルになっているということがわかるかと思います。

次に、韓国の高齢者の雇用についても見ていきたいと思います。

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韓国の高齢者の労働参加率を調べてみましょう。

労働参加率とは、生産年齢人口のうちの労働力人口の割合を指します。

こちらもOECDのデータを参考にしています。

2017年に発表されたデータでは、韓国の65歳以上の労働参加率は31.5%となっています。

これはOECD諸国の中で2番目に高い値です。

ちなみに韓国を超えるのは、2008年のアイスランド危機によって財政破綻の寸前まで行ったアイスランド一国のみとなっています。

OECD諸国の平均値は14.8%であり、韓国の数値が明らかに高いことがわかっていただけると思います。

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韓国の高齢者の貧困率を見てみましょう。

韓国の2014年における66歳から75歳の高齢者の貧困率は42.7%となっています。

OECD諸国の平均値が10.6%であり、相当高い数値であることがわかると思います。

76歳以上の高齢者に至っては、貧困率が60.2%にも及んでいます。

OECD諸国の平均値は14.6%であることからも高齢者の貧困が国際的に見ても突出していることが窺えるデータになっています。

韓国における高齢者の貧困は先述したように深刻です。

その要因の一つとして、年金制度の仕組みの整備、確立が遅かったことが挙げられます。

後述しますが、公的年金制度が開始したのは1988年で、国民皆年金が達成されたのが1998年です。

一定期間年金制度に加入していなければ年金を受け取ることができない制度となっているため、制度上受給が不可能な世代が生じてしまうということもありました。

このように韓国の高齢者が所得格差と貧困に苦しめられているという現状は理解していただけたでしょうか。

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韓国の年金制度

それではいよいよ韓国の年金制度の説明です。

韓国の年金制度は、国民年金と特殊職域年金の二つに大きく分けることができます。

まず韓国の特殊職域年金ですが、これには公務員年金、軍人年金、私学教職員年金の3種類が存在しています。

そしてこれらの職種以外の、18歳以上60歳未満の人々が国民年金に加入することとなっています。

韓国の民間企業等の被用者、自営業者は国民年金の強制加入者です。

韓国の国民年金は当初サラリーマン、労働者に限定されていました。

1998年に韓国の国民年金法の改正があり、国民皆年金が達成されました。

また、この時に保険料率、給付水準、支給開始年齢についてもそれぞれ変更がなされました。

具体的には、保険料率を9%から19.1%へとすること、所得代替率70%から60%に引き下げ、支給開始年齢を60歳から65歳へと引き上げるといった施策が行われました。

(所得代替率とは、年金を受給し始める時点の年金額が、保険料を納めている現役世代の手取り収入額と比べた際にどのくらいの割合なのかを示した数値のことで、給付水準を示すものです)

しかし2003年ごろから韓国の年金基金の枯渇、未加入者等の問題が表面化するようになります。

2007年に、給付水準が60%から40%まで段階的に、保険料率は9%のまま維持という引き下げが実施されました。

65歳以上の高齢者の6割に、国民年金加入者の平均所得の5%を支給するという基礎老齢年金制度が導入、2008年より実施されています。

この基礎老齢年金制度は2014年7月に廃止され、基礎年金制度がそれに取って代わり導入、実施されています。

これは、韓国の低所得の高齢者を対象としたものです。

韓国の受給対象者は、65歳以上の高齢者で所得下位70%の者となり、支給額は10万ウォンから20万ウォンで所得に応じて変化します。

この制度の問題点としては、加入している期間が長くなるにつれ給付額が減ってしまうということが挙げられます。

また、韓国の高齢者の貧困率を下げるには支給額が少ないという意見も出ています。

安定的な財政が必須であるため、2008年に第二次国民年金財政再計算が実施されました。

その結果、今の保険料率9%のままだと、2060年に国民年金基金が枯渇するという見通しであることがわかりました。

2018年の再計算においては、2057年に積立金が枯渇するという見通しで、2008年の試算よりも3年短くなるという結果になりました。

韓国の年金の財政が悪化する原因はなんでしょうか。

これに関しては少子高齢化の影響が最も大きいといえます。

冒頭で韓国の高齢化について述べましたが、同時に少子化も進行しています。

年金の受給者は増えているにも関わらず、保険料を納めている世代が減少し財政が悪化しているということです。

また、保険料率が長期間固定されているのも要因の一つです。

韓国では1988年から保険料率は20年以上の間9%で固定されたままとなっています。

導入当時の所得代替率は70%と高い水準に設定されていましたが、前述した通りこちらは段階的に引き下げられています。

将来的には2028年には40%に引き下げることが決定されています。

基金が枯渇する時期に関しては、合計特殊出生率の回復、基金運用収益率の上昇によって延びることも明らかとなっています。

また、他の対策案も提示されています。

その一つは保険料率を現行の9%から11%に引き上げる案です。

二つめは所得代替率を2028年までに40%にし(現行の制度と同じ)、保険料率を現行の9%から段階的に13.5%まで引き上げるという案です。

それ以降は保険料率の引き上げは行わず、年金の支給開始年齢を段階的に引き上げることが考えられています。

韓国の現行の年金制度における受給開始年齢

韓国の国民年金には老齢年金、障害年金、遺族年金、一時金といった種類があります。

老齢年金の受給資格は、保険に加入している期間が10年以上であり、60歳以上であることです。

受給資格の生じた年齢に達したとしても、支給開始の年齢を後ろ倒しにすることが可能です。

その際は年金額が上乗せされる仕組みになっています。

通算年金という仕組みもあり、これは国民年金と特殊職域年金の加入期間が20年を超えていれば老齢年金を受け取ることができるというものになっています。

韓国の年金加入状況

韓国の国民皆年金が1998年より始まったわけですが、実際の年金の加入状況について確認します。

2015年時点で、国民年金、公務員年金、軍人年金、私学教職員年金の加入者合計は訳2300万人で、これは18歳から59歳の人口の約7割にあたります。

なお、保険料納入を猶予された納付例外者も存在しています。

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韓国の年金の支給額

2015年に統計庁が発表した2015高齢者統計によれば、55歳から79歳の高齢者のうち、国民年金、公務員年金、軍人年金、私学教職員年金といった公的年金や個人年金を受給しているのが45%ということがわかりました。

このうち、受給月額が25万ウォン未満である人が52.1%と過半数に及んでいます。

年金の受給資格を有している高齢者のうち78%に及ぶ人が、年金を全くもらえない、もしくはもらえたとしても受給月額が25万ウォンより少ないということが判明しました。

韓国の将来のデータも試算されています。

2013年時点で、国民年金公団が試算した結果によれば、韓国のベビーブーム世代(1955年から1963年に生まれた世代)の老後の平均受給月額は46万ウォン(日本円にして約4万4000円)ということがわかりました。

韓国の生活保護の給付月額が49万ウォン(約4万7000円)であるため、それよりも少ない値ということです。

支給額だけでなく受給率についても厳しいデータがあります。

2015年時点での公的年金の受給率は42.3%で、半分以上の高齢者が公的年金を受給していないという事実があります。

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韓国の年金の空白期間

サムスン生命研究所によれば、退職していない人の予想している退職年齢は平均して65歳ですが実際の退職年齢は平均して57歳であるということがわかりました。

2013年には定年60歳延長法が国会で成立しており、それを超えて働くことを予想する人が大半ですが、実情としては定年の60歳よりも早く退職しているということです。

韓国の年金の支給開始年齢は、前述したように60歳から段階的に65歳へと引き上げられることが決定しています。

これにより、退職してから年金を受給資格が生じるまでの空白期間が増えてしまうことが懸念されます。

この問題を解決するもっとも簡単な方法としては、定年と年金の支給開始年齢を等しくし、空白期間をなくすということが考えられるでしょう。

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韓国の健康保険

続いて、韓国の健康保険の現状に関して見ていきたいと思います。

韓国の健康保険は全国民に加入が義務付けられている「国民健康保険」というもので、この点に関しては日本と似ているということができます。

ただし日本と違う点としては、日本は75歳未満が国民健康保険、75歳以上は後期高齢者医療制度といったように高齢者になると別の保険制度が存在しているのに対して韓国の国民健康保険はその一種類であることが挙げられます。

韓国の国民健康保険の対象者は、職場加入者と地域加入者に分けられます。

職場加入者は、企業で働く者、公務員、教職員が対象となります。

ただし期間が一か月未満の日雇い労働者や、兵役に就いている人などは除外されるなど一部の例外は存在します。

また、職場加入者に関しては被扶養者という概念が存在します。

職場加入者によって生計を維持される配偶者、直系尊属などの者が該当します。

地域加入者は、職場加入者とその被扶養者以外の人々にあたります。

地域加入者に関しては被扶養者という枠組みはなく、世帯構成員全員が加入者になります。

韓国の国民健康保険公団のデータによれば、2016年度の加入状況は職場加入者が69.6%、地域加入者が27.7%ということがわかっています。

韓国の保険者(健康保険事業を行う団体のこと)は国民健康保険公団という団体ただ一つです。

1999年の国民健康保険法改正に伴い、従来複数だった保険者が国民健康保険公団に統一されました。

保険者としての業務は日本とほぼ同じであり、加入者資格認定、被保険者証の発行、保険料の徴収などを行っています。

韓国の国民健康保険の財源

韓国の国民健康保険の財源は主に保険料で、2014年の時点で財源の8割を占めています。

なお、保険料以外の財源には、国庫負担金からの補助もあります。

韓国の保険料は職場加入者と地域加入者で異なっています。

まず職場加入者ですが、こちらは加入者の月の報酬額に保険料率を掛けて決められます。

加えて、不動産賃貸収入、利子等の所得が年間7200万ウォンを超える者は、別に追加で保険料を徴収することになっています。

次に韓国の地域加入者です。

こちらに関しては、所得を把握することが難しいため所得の他にも基準を策定し保険料が決められています。

保険料の賦課点数に点数当たりの単価を掛けたものが保険料です。

保険料減免の措置もあり、対象者には上記の保険料決定後に保険料の減額が行われます。

その対象者は、国外で勤務している者、大統領令で定めている過疎地域に住んでいる者等が存在します。

韓国の国民健康保険から給付されるもの

韓国の国民健康保険から給付されるものとして、医療機関や調剤薬局等の保険医療機関からの外来、入院、リハビリなどの医療サービスが挙げられます。

医療サービスは、上級総合病院(20科以上の診療科がありそれぞれの科に専門医がいる、専門医養成機関である等の一定の条件を満たした総合病院のこと)、総合病院、歯科医院、薬局にいたるまであらゆる医療機関が行っています。

また、現金給付もあります。

一部を紹介すると、疾病手当:保険医(保険医療機関で健康保険の診療を行う医師)でない医療機関において緊急受診のあった場合に給付、身体障害者の補装具:購入した額の80%を給付などがあります。

韓国の健康保険が抱える課題・法改正

韓国の国民健康保険の抱える課題について見てみましょう。

The World Bankのデータによれば、GDP比で見た韓国の医療費は2014年で2060ドル/人で、対GDP比率は7.4%です。

日本においては3703ドル/人で、対GDP比率が10.2%となっています。

こうして比較してみるとあまり高くないことがわかりますが、記事冒頭で述べた通り高齢化が急速に進行しているため医療費が高騰し始めているというのが現状です。

そしてその他にも大きな問題があり、それが不公平感を生み出していました。

現行の健康保険の体制では、前述した通り職場加入者と地域加入者の保険料の算出方法に違いがありました。

この異なる賦課体系が不平等感の原因となっています。

韓国の地域加入者の保険料の算出の際に、本人の生活水準を超える保険料となることがしばしば起こっています。

その他にも、定年退職した際に生じる保険料の増加という問題もあります。

職場加入者であった雇用者は、定年になり会社を退職すると地域加入者へと移ります。

所有している不動産によっては企業で働いていた時と比較して保険料が増加することがあります。

韓国の高齢者の収入は現役時代と比較して減少しているにも関わらず納める保険料が増加することで被保険者の不満が募るという現象が起こります。

これらの問題を解消するために、2017年に保険料賦課体系の大幅な改正が行われることとなりました。

大きな改革であるため、転換は段階的に実施される予定となっています。

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それでは、韓国の改革の内容について見ていきましょう。

韓国の制度は2018年から2022年までと、2022年以降の2段階に分けて実施されます。

この法改正で最も重要といえるのは、地域加入者を対象に実施されている現行の評価所得制度の廃止という点です。

今後は、課税所得が基準以下の際は最低保険料が課せられます。

それを超過した場合には別途保険料を算出することとなりました。

基準は二段階設定されています。

第一段階は課税所得が100万ウォン以下の人に適用され、最低保険料は月13100ウォンとなります。

第二段階は課税所得が336万ウォン以下の人で、こちらの最低保険料は月17120ウォンです。

第一段階の最低保険料は、現行の保険料のおよそ半分程度の水準になっています。

第二段階の最低保険料は、職場加入者の最低保険料と同額です。

また、今回の法改正によって地域加入者の中には保険料が上がる者も発生しますが、それに関しては引き上げた額を全て減額し、今の水準を保つことになっています。

韓国の法改正による財政への影響

今回の法改正において、保険料の引き下げが行われる世帯が多数あるため保険料による収入は大きく減ります。

具体的には、第一段階、第二段階を合わせた世帯数は757万世帯に及ぶとされています。

このうち保険料の引き下げにより、第一段階では1兆3480億ウォン、第二段階では3兆982億ウォンの収入が減少するとみられています。

ただし、被扶養者に関しては事情が異なります。

今回の法改正で生計維持要件の変更がなされます。

こちらでも二段階の基準を設け、第二段階を超えた場合、職場加入者の被扶養者から地域加入者へと変わることが定められました。

また、現行の被扶養者の範囲も変更され、原則として兄弟、姉妹は被扶養者から除外するということが決定しました。

ただし一部例外は設けてあります。

これにより多くの被扶養者が地域加入者へと転換するので、保険料の収入は増えると見込まれています。

現在の被扶養者数が2079万人であり、第一段階では1486億ウォン、第二段階では4290億ウォンの収入増となります。

次に、韓国の職場加入者の保険料に関して見てみます。

今回の法改正で保険料の賦課範囲が現行のものよりも拡大されることになりました。

こちらも二段階の基準を設けており、第一段階は年3400万ウォン、第二段階は年2000万ウォンを超過すると保険料が賦課される対象となります。

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また、韓国の保険料の上限の変更もありました。

これらの変更がありましたが、職場加入者のうち今回の法改正により影響を受ける人は少なく、保険料の収入は増加しますが額としてはそれほど多くありません。

第一段階、第二段階を合わせた職場加入者数は1581万で、このうち保険料の引き上げ対象となるのは第一段階、第二段階を合わせて39万世帯しかありません。

韓国の保険料の収入は合わせて5789億ウォンです。

以上の、保険料の収入の増減に関して地域加入者、職場加入者の被扶養者、職場加入者の全てを総合します。

すると保険料の収入は3兆4383億ウォンの減少となり、財政に与える影響が非常に大きいということがわかります。

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韓国の医療の自己負担額は?

韓国の医療費に占める患者の自己負担額を他の国々と比較してみましょう。

OECDが2017年に発表した統計のデータを見てみます。

総医療費に占める自己負担額の割合は、韓国では41.8%となっています。

OECD加盟国36ヶ国の平均値が26.6%であり、韓国はそれよりも遥かに高い値となっています。

日本の15.9%という値と比べても非常に高いことがわかるかと思います。

自己負担率が高いということは、低所得でありかつ重症の患者にとって厳しい状況になっているということです。

自己負担率が高くなっている理由としては、保険が適用される診療についての患者が負担する割合が高い水準であること、混合医療が許容されていることの2点が挙げられます。

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韓国の国民健康保険に存在する自己負担に関して説明します。

外来・入院か、外来に関しては医療機関の規模・所在地でそれぞれ負担額は異なります。

この負担額が過剰になることがないように、所得に応じた上限が設定されています。

入院の場合は、自己負担の割合は原則2割となっています。

新生児、自然分娩等一部の対象者に対してはさらなる減免措置が取られています。

外来についてはまず規模で上級総合病院、総合病院、病院、医院、保健機関、薬局、特例患者自己負担という括りにそれぞれ分けられています。

そして所在地ごとに負担額が設定されています(所在地に関わらず設定されている病院も存在します)。

上級総合病院については診察料+(療養給付費総額-診察料)×60%が、保健所では療養給付費×30%がそれぞれ自己負担となっています。

自己負担額の上限は、先にも述べた通り患者の所得に応じて定められています。

1年間で定められた金額以上を支払った際、超過した分が患者に返済されることになっています。

次に、韓国の混合診療に関して説明します。

韓国の国民健康保険において提供される医療サービスで特徴的なのが、混合診療型と呼ばれるものです。

韓国の混合診療型というのは、保険が適用される診療と、保険の適用されない診療(保険で認められない診療)が併用して提供された際に、保険診療に関しては国民健康保険法が定める負担を、保険外診療に関しては全額を負担するという制度になっています。

それに対して日本は、混合診療禁止型であり、保険診療と保険外診療を併用することが原則で禁止されています。

仮に混在した場合に関しては、その全ての診療に関して自由診療(10割負担)を支払わなければなりません。

韓国ではなぜ混合診療型の医療が行われているのでしょうか。

それを知るためには、韓国の国民健康保険の特徴である当然指定制という仕組みを理解する必要があります。

当然指定制とは、医療機関は申請をせずとも開設した時点で国民健康保険法上の療養機関となる制度のことです。

日本では厚生労働大臣への申請が必要であり違いが窺えます。

当然指定制が採用された理由としては、国民健康保険法が成立した際に、診療報酬が低く設定されたことが理由です。

診療報酬が低い環境においては望んで保険医療機関を開設する民間の医療機関が少なくなるという懸念がありました。

そこで医療機関を開設すると強制的に保険医療機関となる制度が導入されたというわけです。

このように診療報酬が低い環境下で、医療機関からの反発が起こらないように混合診療という仕組みが組み込まれたというわけです。

しかし混合診療にも課題はあります。

それが韓国の患者の負担増加です。

保険が適用されない診療は患者が全て負担しなければならず、これが発生することで患者の支払う医療費は当然増加します。

これを改善するために開発されたものが実損保険と呼ばれるものになっています。

これは韓国の民間保険会社が販売する保険商品です。

標準的なものを挙げてみると、入院保障について単独型(実損保険のみの加入)では患者負担額の80%を、特約型(様々な保障内容に付加、特約として加入するもの)では90%が保障されます。

しかしこの実損保険にも課題があります。

実損保険は多くが国民健康保険の対象となるものと合わせて提供されます。

その結果患者の負担は確かに減少しますが、それにより本来は不要な医療サービスが多く提供されることに繋がるのです。

そうすると国民健康保険からの支出が増加し、財政を圧迫するという事態が生じてしまうのです。

韓国の年金制度まとめ

韓国の年金制度は、その整備が遅れたことによって高齢者の貧困を引き起こしました。

年金制度が導入されてからも、受給額の低さや財源枯渇といった問題が生じています。

韓国では非常に速い速度で高齢化が進行しており、それが制度の問題に深く関わっています。

今後もより一層高齢化の進んでいく韓国にとって、それを踏まえて制度の見直しを図り運用していくことが求められていると思われます。

韓国の健康保険は、日本と似ている部分もありますが、保険者が単一であること、混合診療の許容、民間医療保険の発達といった違った側面も多く見られます。

患者の自己負担額が大きく、低所得者にとっては厳しくなっているのが現状です。

財源の減少で法改正もなされましたが、実損保険のように財政に影響を与える制度の存在も影を落としています。

特徴的な制度を有効に活用し、国民にとっても国にとっても最良の選択を取ることが求められていくでしょう。

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